卓越したテクニックを持つイラストレーター ASUKA111さん
2014年5月9日~11日、バンコク市内のショッピングセンター・サイアムパラゴンで開催された『タイランドコミックコン2014(Thailand Comic-Con 2014)』の会場を見て回っている時、私の注意を惹いた一つのブースがありました。
イラストレーターのASUKA111、本名パティパット・アサヴァセナ(Patipat Asavasena)さんの自費出版したアートブックやポストカードを販売しているブースです。
イラストをご覧になって頂くとお分かりのように、卓越したテクニックと一枚の絵の向うに物語が広がっています。
–今、おいくつですか?
1984年生まれの30歳です。
–え、本当ですか!?
よく驚かれます。年齢が読めないタイプらしいです。性別についても(笑)
–イラストレーターを志したのはいつ頃ですか?
子供の頃は『ロックマン』のゲームや漫画が好きで、それを模写してたりしました。16、17歳の時、『エヴァンゲリオン』のキャラクター・デザイン」で有名な貞本義行さんの作品に出会ってから本格的にイラストと取り組むようになりました。ペンネームのASUKAも惣流・アスカ・ラングレーから取っています。111は他のASUKAと区別するため、適当にくっつけました(笑)。
大学ではメカニカル・エンジニアリングを勉強しました。在学中、インターンシップで某企業で一か月働いたのですが、その時、「私はサラリーマンにはなれない」と悟り、それを親に言いました。勿論、反対されたのですが、私の決意は変わりませんでした。
–どうやってフリーのイラストレーターとしての地位を確立していったのですか?
幸運なことが続いていったのです。最初は、私の作品をネットで見た一般の方からの依頼でプレゼント用のイラストを描いたりしていました。
2006年あるゲームスタジオからシューティング・ゲーム用のコンセプト・アーティストとしての依頼を受けたり、2010年公開のアメリカ映画『HOWL』の映画中アニメのキービジュアルを担当しストーリーボードを描いたりしました。後者はビート文学の詩人アレン・ギンズバーグを主人公にしたものです。ちゃんとクレジットもエンドロールに入っていますよ。
–それはすごい!フリーのイラストレーターとしてやっていくことの難しさは何ですか?
アーティストとしての側面では、常に学び続けることですね。これは終わりがありませんが楽しい。一方、フリーランスとしてビジネスのマネージメントもしなければならない。そのバランスを取らなければならない点が難しいですね。
–これからの夢は何ですか?
長編のアニメーションを作ることですね。ただ、私は物語作りがあまり上手くないのです(笑)。友人の漫画家に手ほどきを受けています。
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ブースには続々とASUKA111のファンが押し寄せ、アートブックやポストカードを買って彼のサインを求めていました。パラゴンのカフェで、このインタビュー最中も隣のテーブルに座る若者からサインをリクエストされていて人気のほどが伺われます。
ASUKAというペンネームは惣流・アスカ・ラングレーが由来ということでしたが、私は別な漫画史上有名なASUKAというキャラクターのことを思い出しました。永井豪さんの『デビルマン』に出てくる飛鳥了です。物語の後半で実はサタン(堕天使で両性具有 )だったことが分かる飛鳥。作品同様、ASUKA111さんも不思議な雰囲気を持っています。
ASUKA111 ART http://www.asuka111art.com/
(2014年5月16日掲載)