鳥山明が『スラムダンク』を描いたら?~第三回国際漫画賞最優秀賞獲得したトン・ジャクラパーンさん
日本外務省が主催する第三回国際漫画賞で最優秀賞に輝いた『Super Dunker』。作者のトン・ジャクラパーンさんに話を聞きました。
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Qいつ頃からマンガを描き始めたんですか?
「幼稚園の頃からキャラクターを真似て描いてましたね。一緒に暮らしていた叔父がマンガ好きで周囲にマンガ本が溢れていました。中でも鳥山明さんの『ドラゴンボール(*)』が大好きで、その影響で将来マンガ家になるんだと決めていました」
*当時(1980年代)、『ドラゴンボール』 はすでにタイで翻訳されていたが海賊版。日本での少年ジャンプの掲載から3~4週間遅れて刊行されていたという。
Qどうやってマンガ家になるという夢を叶えたですか?
「高校を卒業した後、本当はマンガの勉強をしたかったのですが、タイにはそういった専門の学校はありません。それで大学で商業アートを専攻したんですが、在学中にマンガ出版社 Vibulkijにインターンとして働く機会を得ました。そこでプロのマンガ家や編集の方々にいろいろアドバイスを貰いました。そんな縁があって、卒業後、同社からデビューすることになりました」
Q『Super Dunker』は有名な出版社Banlue Booksから出ていますね。いつ連載はスタートしたんですか?
「『マッハサヌーク』という週刊マンガ雑誌で2008年から始まりました。現在単行本は9巻まで出ています。物語の舞台は、私が生まれ育ち今も住んでいるパタヤです。有名なビーチリゾートでご存知の方も多いと思います」
Q『Super Dunker』の基本アイディアはどうやって生まれたんですか?
「この作品以前、私は主に寓話やファンタジー物を描いていました。今度は自分も好きなスケットボールを題材にしようと思ったのがきかっけです。だから、作品の中にはティーンの頃の友人たちやその思い出も混じっています」
Q国際漫画賞を取った時はどんな気持ちでしたか?
「実は受賞が決まるまで、作品が日本に送られたことを一切知らなかったんです。ある朝、まだ寝ている時に編集部から電話があり、『最優秀賞を取ったよ!日本に行けるよ!』と言われたんですが、まだ夢の中の出来事じゃないかと信じられませんでした(笑)。
授賞式のため日本には10日滞在しました。尊敬する日本のマンガ家の方々にお会いしたり、秋葉原に行ったり、最高の日々でした。
ただ、マンガやフィギュアなど買いたい物が一杯あり過ぎて、帰りの荷物は53キロになってしまいました。あまりに量が多すぎて、タイの税関で販売目的だと思われ罰金を払う羽目になりました(笑)
貴重な体験でしたから、あとで旅行記として一冊の本にまとめました」
Q今後の目標は何ですか?
「『Super Dunker』をタイだけでなく、日本を含めた世界で読んで貰うようになりたいですね」
ありがとうございました!
Super Dunker
タイの有名なビーチリゾートのパタヤの沖合いのある島に住む少年トートー。飛行機事故で島に落ちてきたNBA選手のロッキーと出会い、バスケットボールを教わる。
島を離れ中学校に入学したトートーは、そこでバスケットボール仲間やライバルと出会い成長していく・・・。
連載をしている週刊『マッハサヌーク』
(2012年8月3日掲載)