「MA DU ZI Restaurant by YUYA」」 のシェフ奥田祐也さんに、ジジイ梅が直撃インタビュー。 (2010年12月28日掲載)
料理人としてのレガシー(伝統)を次に伝えていきたい
奥田祐也さん
MA DU Z Restaurant by YUYA シェフ
スクンビットとアソークの交差点を少し南に入ったソイ16の角にあるMA DU ZIホテル。プライベート・ホテルで基本的に門を閉ざしているため、気づきにくいが、この中に知る人ぞ知るフレンチの名店がある。その『MA DU ZI Restaurant by YUYA 』で腕を振るうシェフが奥田祐也さんだ。
『フランスのルレ・エ・シャトー加盟ホテルChateaude Marcay、恵比寿タイユバンジョエルロブション、二期倶楽部で修行を重ね、銀座アンジェリーナでセカンドシェフに就任。その後、ヴィラオリエンタルでエグゼクティブシェフを務める。』(MA DU ZI Hotel Bangkokのプレスリリースから)
32歳という若さにも関わらず、錚々たる経歴を持つ奥田シェフに迫った。
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■坂井宏行氏のもとフレンチ修行
ジジイ梅 料理の道に進もうと思ったのは?
奥田さん 子供の頃、よく見ていた『料理の鉄人』の影響が強いですね。その後、フレンチの鉄人として活躍されていた坂井宏行氏の元で修行をさせて頂くチャンスがありました。感動しましたね。
学生時代、モデルをしていたというイケメンだ
■スーパーで食材を調べていて椿事勃発
ジジイ梅 バンコクに来られるきっかけは?
奥田さん こちらのホテルからのオファーを受け、今年(2010年)3月にやって来ました。レストランが本格的に始動したのは6月頃でしたね。
実は、僕を含めた3人のシェフが候補に上がっていたんです。それぞれのシェフが料理を供するディナー・イベントが行われ、料理評論家やお客さまの投票で採用が決まりました。
ジジイ梅 タイで料理を作るに当たって苦労されたことはありますか?
奥田さん まずは言葉ですね。食材の名前から、日本語でもフランス語でもない。バンコクのデパートやスーパーに足を運び、どんな食材があるかを調べ、その名前をメモに書き写しました。警備員に何度も呼び止められましたよ、「何をやっているんだ?」って怪しまれてね(笑)。
メモを取るにしても、英語は良いんですが、タイ語は読み書きなんて出来ない。だから、ウネウネしたタイ文字を絵を描く要領で書き写し、後でそれをスタッフに見せて名前を訊きました。
バースペース
■瞬間の判断を下すシェフの力量
ジジイ梅 食材その物に関してのご苦労はなかったですか?
奥田さん その点では問題なかったですね。目の前にある食材を使ってアレンジする、というのは知識と経験でカバー出来ますから。
昔、賄い食を任されていた頃は、それこそ限られた物しか使えませんでした。それで先輩たちが納得する美味しい料理をいかに作るか苦労しました。
当時は楽しいとは思わなかったんですが、思えば良い体験でしたね。
ジジイ梅 アドリブの芸術ですね。
奥田さん 食材のことに限らず、シェフというのは瞬間の判断を迫られる状況が沢山あるんです。お客様からこんな要望があるとか、急に大人数のグループが来られたとか。
そんな時、イエスとノーをはっきりさせ、的確な指示を与える。僕が司令塔なんですから慌ててはいられません(笑)。
彩り溢れる料理
■タイ人スタッフへの指導
ジジイ梅 キッチンのタイ人スタッフたちはいかがですか?
奥田さん 最初は少しとまどいましたね。ちゃんと理解してないのにOKと言われたり、次にすることを考えながら作業を進めるということが出来なかったりで。
ジジイ梅 どんな風にそれを解決していったんですか?
奥田さん とにかく、一緒に作業をして、それが必要な理由をしっかり説明することですね。
また毎月1回、みんなで食事会に行きます。これは日本にいる頃からずっとしてきている行事なんですが、親睦会・お疲れ会・説教会などを兼ねたものです(笑)。
フランスに留学していた時も同じですが、語学を学ぶのは得意なんです。すでに8か月滞在し、タイ語がある程度話せるようになり、スタッフたちとの距離は短まったと思います。
和気藹々とした雰囲気でやってますし、今では彼らも空気を読めるようになってきたと思います。
帆立、車海老、アスパラガス黒トリュフを使った創作料理
■気軽にフレンチを楽しんで欲しい
ジジイ梅 レストランに来られるお客様の反応はいかがですか?
奥田さん 僕の料理は、日本人の繊細さを生かした重くならない味わい、有機野菜をふんだんに使った色とりどりの美しさがポイントです。
だから自然、日本人女性のお客様が多いですね。現在のお客様層は日本の方が7割、タイの方が2割、残りが欧米の方という感じですね。
ジジイ梅 タイ人のお客様の反応は日本人とは違いますか?
奥田さん タイ人のお客様は感想をストレートにおっしゃるので、分かりやすいですね。また口コミ社会で、僕の料理の評判を聞きつけ、滞在先のベトナムから来て頂いた方もいらっしゃいますね。
僕が目指しているのは、美味しい料理をカジュアルに楽しめる環境です。緊張しながら食べるなんて楽しくないですからね。だからドレスコードもそれほど厳しくなく、ご家族連れも歓迎しています。
見た目も美しくヘルシー
■料理人としての使命を持って
ジジイ梅 タイで叶えたい目標はありますか?
奥田さん 今は出来合いで、それなりに美味しい物が簡単に手に入る時代ですよね。そういう状況それで良いと思っていますが、あくまでビジネスであって、料理の伝統の中にある物ではない。
僕は自分の知っていることをタイ人スタッフに伝え、その伝統を伝えていきたいんです。
だから、メニューのレシピは全員に渡しています。それをどうやって使い、自分の物にしていくかは彼ら次第。ただ僕はチャンスは均等に与えたいんです。
あと何年ここにいるか分かりませんが、その点でも悔いのない仕事をしていきたいですね。
ジジイ梅 ご家族のタイでの暮らしぶりはいかがですか?
奥田さん 妻と2人の息子たちとやって来ましたが、今ではタイの生活にも馴染んだようです。
やっぱり子供が新しい環境に慣れるスピードはすごいですね。今、小学校に通っている上の6歳の子は僕よりタイ語が上手いですよ(笑)。
■MA DU ZI Restaurant by YUYAのここが人気
*バンコク初となる日本人シェフのフレンチレストラン!
*フランス料理の枠にとらわれないオリジナルレシピのメニュー。心も体も美しくなれるクリエイティブ・キュイジーヌが楽しめる!
MA DU ZI Restaurant by YUYA
MA DU ZI HotelBangkok (マドゥジホテルバンコク)内
9/1 Ratchadaphisek, Klongtoey, Bangkok 10110
TEL:02-615-6400
HP:www.maduzihotel.com/
シックで落ち着く店内
バースペース
彩り溢れる料理
帆立、車海老、アスパラガス黒トリュフを使った創作料理
見た目も美しくヘルシー
フランボワーズのコンフィを包んだチョコレートムース
「MA DU ZI Restaurant by YUYA」 シェフ 奥田祐也氏