本年2014年、15回目を迎えた「タイフェスティバル」。毎年、日本国内から味自慢のタイ料理屋が集結し、訪れるだけでタイ料理の味めぐりができるという事で話題を呼んでいるイベントですが、5月17日・18日は晴天に恵まれ、30万人以上の動員を記録しました。
メインステージでは毎年、タイの有名アーティストがライブパフォーマンスを見せてくれるという事で、タイミュージックファンや、在日タイ人は、イベント前から「今年は誰が来るんだろう?」とわくわく。
今年、このイベントのステージを締めくくったのは、タイのロックシーンのカリスマ的存在「モダンドッグ」。タイ人で彼らを知らない人はいないのではないでしょうか?
今年デビュー20周年を迎え、ますます精力的に活動中の彼らは、日本でのライブや日本人アーティストと共演も多く、タイフェスティバルでのパフォーマンスはなんと3回目。タイフェス以外でも日本を訪れる機会の多い日本通でもあります。
タイランドハイパーリンクスでは、そんなモダンドッグの3人に独占インタビューを行いました!
左から ポーン:ドラム ポッド:ボーカル メーティ:ギター
— 結成20周年おめでとうございます!
ポッド ありがと!(日本語で)
— 3回目のタイフェスですけど、これだけ日本に来るっていうことは、日本大好きってことで間違いないですよね(笑)?
ポッド もちろんです!
— 日本に来ると必ずこれはやる、ここには行くっていう事を教えてください。
ポーン 僕は日本に来ると必ずソフトクリームを食べます。ミルク味が好き(笑)。
— あれっ?ソフトクリームはタイにもあるんじゃないですか?
ポーン タイのソフトクリームと日本のソフトクリームは全然味が違いますよ。風味も強いし、香りもすばらしい。ミルクの味が濃厚です。とても美味しい。
ポッド ポッドさんは~(日本語)。
ポッド
— (笑)…日本語うまいですね!
ポッド ポッドさんは日本のブックストアが大好きです。代官山のTUTAYAによく行きますよ。
— ということは、代官山のTUTAYAに行ったらポッドさんに会えますね!
ポッド あははは。そうですね。でも僕はトイレに行っているかもね(笑)。
メーティ 僕はお茶の水の楽器屋さんに行きます。
— お茶の水の有名どころだとクロサワ楽器とか?
メーティ お店の名前は忘れちゃいましたが、いつもギターを買いに行ったり、どんなギターがあるのか見に行ったりします。
メーティ
— 20年も同じメンバーでバンドを続けることは日本でもタイでも難しいことです。タイでも日本でも解散やメンバーチェンジはよくありますよね?そういった意味ではモダンドッグはすごいと思います。何か秘訣のようなものはあるんでしょうか?
メーティ モダンドッグはゴジラみたいな感じ!
— ゴジラ!?
メーティ バンドをやる時には3人で集中して、ものすごいパワーを発揮するから。でも、モダンドッグとしての仕事のない日は別々で、違う趣味のことをお互いやっているので、それが長く続けられる秘訣だと思っています。
ポッド 実は僕たち5歳の時からの友達なんです。
— えー?そうだったんですか?すごいですね。5歳の頃に知り合った仲間と今もバンドを続けているなんて、とても珍しいですよ。
ポッド そう。だから、僕達はお互いのやりたいことや、「こいつはこうしてほしいんだろうな」ってことを、全員が理解し合ってます。それがバンドを続けることでとても大切なことなんですよ。個人の音楽の方向性もわかっていますからね。
ポーン 僕達は全員、音楽に対してバランスを取っていて、自分の全てを音楽だけにしていないんです。だから3人ともお互いに好きなことをやりながら、真ん中に音楽がある。3人の共通点は音楽だけど、他はそれぞれ好きなことをやっているんです。自分のバランス、他の人のバランス、それを調整してるから、うまくいっているのだと思います。
ポーン
— ここからは、冗談でも本気でも良いんですが、この人のここは好き、ここはダメっていうところを、この機会に教えてください。
ポッド (笑)OK、OK!メーティさん(ポッドさんは自分をはじめ全員に日本語で「さん」を付けて話してくれます)の良い所は、何か一つを言ったらすべて理解してくれて、すぐに仕事がスタートできるようにしてくれる。さっきも言ったように、僕達はお互いのすべてを理解しているからできることなんですよね。ただ、メーティさんは忘れっぽくて、かなりおっちょこちょいなところがあって(笑)。
メーティ ・・・(複雑な表情)。
ポッド でもそんな彼の忘れっぽい部分も理解しているので、何の問題もないです。ポーンさんは、メーティさんと同じで僕が言ったことを「わかった!」と言って、思った通りにやってくれる。でも、ポーンさんは昔から少々気まぐれなところがあったんだけど(笑)、個人でサイクリングを始めてからは、かなり緩和されたかな?それにパフォーマンスにもすごくパワーが出るようになって、サイクリングのお蔭で、色々な部分に良い影響が出ていると思うよ。
ポーン ポッドも言っていたけど、メーティはすごく忘れっぽくて。
メーティ ・・・(苦笑)
ポーン でもそれが逆にものすごくいい影響を与えることがあるんです。多分頭がごちゃごちゃしている時に、逆に忘れることで、いいアイディアが浮かんだり、すごく不思議な人(笑)。だからチャンスを呼び込める人だと思っています。ポッドは全体像を見るのがすごくうまい。僕とメーティは一点だけを見がちだけど、彼はバンド全体を見てくれるのが、すごく助かる。
ポッド ・・・(表情がにんまり)
— (笑)うれしそうですね。
ポッド あはははは。
— 忘れっぽいと言われまくったメーティさんですが、反撃をお願いします(笑)。
メーティ (笑)・・・。ポッドは自分の頭の中に「絵」がある人。「こうやってほしい」と言うときには既に自分の中にはっきりとした「絵」があるので、それを僕たちに描かせる事がとてもうまい。しかも、その「絵」は曖昧ではなく、とてもはっきりした「絵」なので、すぐに理解できます。でも…彼にはキャラクターが二つあって(笑)、「静かな感じの曲にしたい」って頼まれたので、それにあうような準備をして彼に提案したら「いや、そうじゃなくて、もっと楽しいのがやりたい!」って言われちゃったりとか(笑)。
ポーン 言われたことを忘れちゃったんじゃないの~?
— …(爆笑)。
メーティ でもポッドは、みんなをリラックスさせてくれますよ。時々、ライブの前に緊張するようなこともあるんだけど・・・。
— 本当に仲が良いんですね。そういえばこの前、新しいアルバムをアメリカでレコーディングしたと思うんですけど、バンコクでレコーディングするのとはどう違いましたか?
メーティ いつもはバンコクでレコーディングするんですけど、ロケーションが変わってとても良かったです。スタジオが森の中にあって、朝ジョギングしに外に出たら、目の前に鹿がいたり、そういう素晴らしい環境だったんです。自分のインスピレーションにとって、とにかく良い環境でした。
ポッド スタジオがナイアガラの滝の近くだったんで、日曜日に滝の近くで遊ぶのも楽しかったですよ。
ポーン 僕は二人より長く滞在していたんですよ。1か月半。
— ずいぶん長く行っていたんですね!
ポーン 毎日サイクリングしていました。
— 本当に好きなんですね。サイクリング!
ポーン あはははは。そうです。大好きです。
ポッド ポーンはサイクリングで、自転車雑誌の表紙になったんですよ。
— えっ?そうなんですか?
ポッド その表紙っていうのが、半分が彼の顔で、半分が犬・・・(爆笑)
— ちょっと見たいですね。それ(笑)。今回の日本滞在で、「これだけはやって帰りたい」っていうことはありますか?
メーティ 温泉に入りたい!実はもう入った事もあるんですよ。
— えっ?どこの温泉ですか?
メーティ FUJI ROCKの開催地。えーっと、どこだっけ?
— 新潟ですね!
ポッド そうそう。新潟の苗場です。僕たち、FUJI ROCKはよく見に行くんですよ。
— 毎年?
ポッド いや、毎年じゃないけど、行けるときにはいつも行っています。
ポーン 僕は今回、自転車をこいで、富士山まで行きます。
— えっ?すごーい?とても大変ですよね?
ポーン 明日から行きますよ。東京から富士山まで自転車で行きます。とても楽しみ。
ポッド 僕は椅子を持って帰りたいんです。
— えっ?
ポッド 三鷹の森ジブリ美術館の隣にあるお店で売っていた椅子なんですけど、とてもほしい。でも持って帰れないかも…とても重いんです(笑)。
— それは残念ですね。…っていうか、ポッドさんって三鷹の森にも行ったんですね。モダンドッグはタイだけではなく、日本人のファンも沢山いるので、モダンドッグのメンバーが気に入っているバンコクの場所にも興味があると思います。バンコクのお気に入りの場所を教えてくれますか?
メーティ チェンライで・・・。
ポーン おいおい、チェンライじゃなくてバンコクだよ(笑)!
— チェンライでもいいですよ(笑)。
メーティ チェンライでコンサートを開いた時に日本人のファンが来てくれました。
— それはすごいですね。私の友達にもモダンドッグのファンが何人かいますよ。えーっと・・・(笑)。
ポーン メーティ、今その質問じゃないよ(笑)!
— ・・・(笑)・・・。
ポッド 僕はトンローのJアベニューのヴィラマーケットによく行きますよ。
— 私も時々行きます。
ポッド えっ?そうなんですか?
— 実はタイに30回ほど行っていまして・・・。ふふふ。ヴィラマーケットに行ったらポッドさんに会えるかもしれませんね!
ポッド 多分会えますよ(笑)。
ポーン:僕はチャオプラヤー川沿いカフェでお茶を飲むのが好き。ワットポー近くでワットアルンが見える場所があるんですよ。お店の名前は忘れちゃった。
— ・・・もしかしてアルンレジデンスのレストランじゃないですか?
ポーン そう(驚愕)!なんで知ってるの?
— やったー!当たった(笑)!何度か行きました。
ポッド さすがに30回タイに行ってる人は違うな・・・。
— 最後に日本のファンにメッセージをいただけますか?
メーティ 日本人がタイの食べ物や文化が好きなことに、とても感謝しています。タイ人も日本の文化や食べ物が大好きですからね。
ポッド 皆さんにとても感謝しています。ありがとう。日本人がタイに興味を持ってくれていることとか、僕たちのバンドをサポートしてくれていることが、とてもうれしいです。皆さんに会うために、もっともっと日本に来たいと思っています。
— うれしいですね!
ポーン 日本のファンのみなさん、本当にありがとうございます。僕たちはタイフェス以外にも何度も日本に来ていて、何度も日本のファンの方に会っているのですが、そのたびに僕たちの音楽を好きでいてくれることに感動します。まだ日本に来ていなかった時は、日本にたくさん僕たちのファンがいることを知らなかったんです。本当にうれしいと思いました。ずっとこれからも応援してください
—
タイで初めて彼らの音楽を聴いた時、「タイの音楽」という感覚ではなく、いわゆる「洋楽的感覚」で聴いていたことに、そのすごさを感じました。タイのロックという枠を超えて、多くの人が魅了されるバンドです。
さすがにポッドさんはものすごいオーラがあり、大人でありながら少年のような雰囲気のある方で、とてもチャーミング。メーティさんは、想像以上に癒し系、ポーンさんは、そんなメーティさんへの突っ込みのスピードが吉本芸人並にはげしかった・・・(笑)。
これからも何度も日本に来て日本のファンに会いたいと語っていたモダンドッグ。結成20周年を迎えて、ますます輝き続けることでしょう。
[インタビュアー 吉田彩緒莉]
第15回タイ・フェスティバル2014
[日時]
2014年5月17日(土)18日(日)
[会場]
東京・代々木公園
[ウェブ]
http://www.thaifestival.jp/jp