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2016年も気がつけば、残りわずかとなってしまいました。
今年、タイでは非常に悲しい出来事がありましたが、音楽はいつも通り充実していました。
個人的にも新しい出会いや出来事が沢山あり、これまで以上にタイの音楽が好きになった年でもありました。
そんな2016年の出来事を振り返りながら、筆者のセンスで良いと思うルークトゥン・モーラムの曲を10曲ピックアップしました。
条件は2015年末以降にリリースされた曲の中から選んでいますが、特にセールスの良し悪しは意識せず、筆者がコンサートなどで良く耳にした曲を中心にチョイスしてみました。
デビュー曲「プア・ティン(ผัวทิ้ง)」がスマッシュヒットしたグルアイの2曲目のシングルとなったこの曲は、前作とは打って変ってダンサブルでユーモラスな曲になりました。
彼女のキャラクターを反映しているようなこの曲は、キャッチーなサビのフレーズとも相まって、各ラジオ局のヒットチャートにもチャートインした人気の曲となりました。
タイトルの意味は「だんなが欲しい」です(ちなみに、1曲目の「プア・ティン」の意味は「だんなに捨てられた」)。
個人的にも年間を通してのお気に入りになった曲です。
https://youtube.com/watch?v=MpKviX61RuE
2016年、イサーンから彗星のごとく現れたアームは単純に若い女の子の歌手というだけでなく、ソングライティングの才能も持っているという意味でも、今年の大きな発見の一つでした。
さらに、若干17歳(この曲が発表された時は16歳)というのも驚きで、将来は歌手としてだけでなく、作家としての活躍も期待される存在です。
すでにイサーンの人々からは絶大な支持を集めている、2017年最注目歌手のひとりと言っても過言ではないでしょう。
筆者にとって2016年で一番大きな出来事だったのは、このラムヤイのブレイクです。
まさか、ちょっと前までスーパーの駐車場で、ビールケースで作られた舞台で歌っていた子が、突然TVに引っ張り出されるとは思ってもいませんでした。
その事に関しては、このコラムでも取り上げています。
第25回 ラムヤイ・ハイトーンカム:実力派18歳はヂャ・カンフーを超えるか。
その注目のされ方はゴシップ扱いレベルだったので、この人気は長続きしないだろうと思っていたところ、案の定、時の経過と共に世間からの注目は落ち着いてきました。
ただ、それで終わらなかったのがこの子の凄いところで、11月末に公開された新曲が現在、人気急上昇中です。
やはり歌手は歌で人気が出てこそのものなので、この曲のヒットがラムヤイにとって、本物の歌手として世間に認められるキッカケになってくれると嬉しいです。
ちなみに、この曲を作ったのはラムヤイと同じプロダクションに所属しているアーム・チュティマーです。彼女の作家としての才能にも気づかされた1曲です。
グンはラムシン歌手としての活動暦は長い歌手でしたが、イサーンでの人気が中心で、バンコクにはほとんど来ない人でした。
以前から彼女のステージを生で観たいと思っていたのですが、このヒットをキッカケにようやくバンコク近郊でもコンサートが行われるようになり、その夢もかないました。
スカのリズムとエロティックな歌詞で、大人気となったこの曲。今やルークトゥン・モーラムのコンサートの定番曲にまでなりました。タイトルの意味は「私のこと気に入らないの?」です。
2016年を象徴する、重要な曲のひとつだと思います。
ラムヤイの件と同じくらいサプライズの出来事だったのが、このフォン・ラッダーワンの4冠受賞のニュースです。
以前からひっそりと応援していた歌手だったんですが、まだまだ世間での知名度の低いという事もあって、まさかこんなに早く主要音楽賞を、しかも4つも獲ってしまったというのは、ファンとしても嬉しい驚きでした。
しかし、賞を獲ったからと言って、一気に仕事が増える訳ではないのが、タイの音楽界の厳しい所。受賞後もフォンのコンサートがそれほど増えていないのは、悔しいです。
偉い先生が褒めてくれたからと言っても、一般の人達が良い曲だと思わないと、本当の人気に結び付かないんだという事を、痛感した出来事でもありました。
しかし、サワット・サーラカーム先生の助けを借りたこの曲は、じわじわと世間に広まり始めています。
実力的には申し分ないので、2017年はその実力に比例した人気になる事を切に願っています。
https://youtube.com/watch?v=HaVVj59bEDc
ヌット・プラトゥムトーンに関しては、こうした日本語のサイトで紹介されるのは初めてであろうと思います。
シーサケートを拠点に活動するヌットなので、あまりバンコクには来ませんが、3月に運良く初めての彼女のコンサートを観ることが出来ました。
その時は、ローカルな歌手だから大して人も集まらないだろうと思っていたのですが、それは大間違いでして、開演時間が近くになるにつれてヌットのファンクラブTシャツを着たファン達が続々とあつまり、会場は入りきらないほどのお客になった事は、ちょっとした衝撃でした。
彼女もラムシン歌手なので、容姿端麗なルックスからは想像できない迫力のある歌声が特徴です。
このオリジナル曲「ファー・ボ・ミー・ダーオ(星のない空)」は、それとは対極の繊細なバラードになっていて、ヌットの魅力の別の側面が表現された名曲です。
彼女の場合、2017年も活動ペースは変わらないと思いますが、またバンコクに来てくれた時は応援に行こうと思っています。
タッサポーンと出会ってから今年で2年になりましたが、ゴン・フアイライと活動するようになって、彼女をステージで観る機会が増えたのは嬉しい事でした。
しかし、新曲はなかなか作られず、ファンとしてはやきもきしていましたが、ここに来てようやく待望のオリジナル曲がリリースとなりました。
その曲「タウェン・ボ・クーイ・トゥア(太陽は裏切らない)」は、これまでのタッサポーンの曲とはかなり雰囲気の違う、王道のバラードといった感じの曲になりましたが、世間の評判は上々です。
文句なしに良いと言えるこの曲。これをキッカケに、今度はタッサポーン自身のコンサートが増える事を期待しています。
ここまで女性歌手の曲ばかり取り上げてしまいましたが、この後は男性歌手の曲だけになります。
ブン・パトゥムラートは今年、大阪で開催されたタイフェスティバルにも参加したので、記憶にある方もいらっしゃると思います。
2016年のルークトゥン・モーラム歌手でMVPは誰かと聞かれたら、真っ先にこの人だと答えられます。そのくらい、タイでの人気は絶大でした。
なんせ、BTSベーリン駅前で行われた彼のコンサートには4000人が集まったという、伝説を作った男です。
それ以外にも、彼のコンサートには常に多数のファンが押しかけ、筆者が観に行った時は、それほど大きくない会場がすし詰め状態となり、酸欠になるのではないかと思ったほどでした。
ブンの代表曲「アーイ・ミー・ヘットポン(理由ありの男)」はYouTube再生回数1億回を達成する特大ヒット曲になり、今もコンサートでは頻繁に歌われています。
2015年「サイ・ワー・シ・ボ・ティム・ガン」で時の人となったゴン・フアイライ。
さすがに2曲連続してのヒットは難しいだろうと思っていたのですが、満を持して発表された新曲「クー・コーン(運命のふたり)」は、TVドラマの主題歌に使われたという事もあって、前作を上回る特大ヒットとなりました。
YouTubeでの再生回数は公開後2ヶ月で1億回を突破し、いまだ数字を伸ばし続けています。2億回を達成するのも時間の問題でしょう。
その理由は、ゴン自身が作る歌がイサーン語で歌われているにも関わらず、イサーンに害の幅広い地域の人々からも人気を集めている所にあると思います。その点は、イサーン中心の人気のブンとは違う所です。
美しいメロディーのこの曲は、改めて作家としてのゴンの才能を思い知らされた名曲です。
コンサートで歌われると、サビの部分では「国家か?」と思わされるほどの大合唱になります。
2016年、極めつけの曲はこの曲に決定です。
ペット・サハラットとプレーウプラーウとのコラボレーションというだけでも強力ですが、最高にダンサブルでかっこいいアレンジは、現在フロアを大熱狂させています。
ペット・サハラットは今年、歌手のタカテーン・チョンラダーと結婚した事でも話題になった人です。
歌手としても大人気なだけでなく、数々の大ヒット曲を手がける作家として、現在のルークトゥン・モーラムシーンに於ける最重要人物の一人と言えます。
プレーウプラーウは以前このコラムで取り上げた頃は、日本ではまったく紹介されていませんでしたが、今や日本のルークトゥンモーラムファンにも広く名前が知れ渡る人気歌手になりました。
タイでも数々の賞を受賞するほどにまでなり、今やトップ歌手の仲間入りを果たしたと言えます。
そんな人気も実力も兼ね備えた2人が組めば、良い曲が出来るのも当然ですが、そんな期待を大きく上回るほどのエネルギーが充満したこの曲。
年末年始も、タイはこの曲で大いに盛り上がるはずです。
ちなみに、タイトル「プローイ・ナム・サイ・ナー・ノーン」は直訳すると「彼女の畑に水を注ぎ込む」と意味で、歌詞全体も結構卑猥な意味を含んでいます。
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こんなラインナップになりましたが、このチョイスはタイでもかなりマニアックである事は確かです。
しかし、実力は間違いなくある歌手達なので、今はそれほどでなくても、これから人気が出る可能性がある人たちであることは自信を持っていえます。
2017年もゆっくりのペースではありますが、引き続きタイの音楽の魅力をお伝えできればと思っていますので、今後ともよろしくお願いいたします。
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