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今、タイで注目を集めている1人の歌手がいます。
名前はラムヤイ・ハイトーンカム。日本で彼女の事を知っている人はほんのわずかでしょう。タイでも無名に近い存在です。
◆ラムヤイ・ハイトーンカム(ลำไย ไหทองคำ)
しかし、そんなラムヤイが今、ある1枚の写真をキッカケに突然脚光を浴びる事になってしまいました。
その辺の事は後ほど触れるとして、まずはラムヤイ・ハイトーンカムという歌手を紹介したいと思います。
ラムヤイはローイエット出身の若干18歳の女性歌手。筆者が彼女の事を知ったのはFacebookででした。その投稿を見る限りでは彼女は歌を歌っているのようでしたが、コンサートなどを行っているのか皆目検討が付きませんでした。
ただ、機会があれば一度観てみたい思っていたところ、2015年10月にバンコクでラムヤイが出演するイベントを見つけたので、試しに観に行ってみる事にしました。
◆2015年10月18日、Big C ラマ4世通り店前でのラムヤイ・ハイトーンカム
容姿は写真を見ていたので想像は出来たものの、歌に関しては完全に未知数でした。可愛子ちゃんタイプだったので大して期待もしていなかったのですが、これが良い意味で期待を裏切る本格派でビックリ。こんなに歌える娘だったとは予想外でした。
しかも、MCも上手くアドリブも効くという、同世代はもちろん、メジャー会社と契約しているそこら辺の歌手なんかよりも遥かに実力をもっている事に一発でファンになってしまいました。
実はこの時はまだ筆者はラムヤイの年齢を知りませんでした。歌の実力やステージの内容(エロティックな仕草や下ネタが多い)から20歳前後だろうと思っていましたが、後日、18歳だと知ってさらにビックリ。まさか、そんなに若いとはステージを観る限りではとても想像できませんでした。
◆2015年11月~2016年1月までのラムヤイのステージから(1)
それから筆者がラムヤイをフォローする日が始まりました。情報を掴むのが大変でしたが、彼女が出るコンサートがあると分かった時は、何よりも優先して観に行きました。
普通、1人の歌手を小まめに追いかけるようになると、観るステージは大体同じような内容なのでだんだん飽きてくるものなのですが、ラムヤイの場合は違っていました。
彼女はオリジナル曲が何曲かあるものの、ステージで歌ってもまだ誰も知らないので、歌うのは定番曲が中心です。ただ、それだけでなくレパートリーも幅広く色んな曲を歌いますし、モーラムの素養もしっかりあり難しい曲も難なく歌えますので、何度観ても本当に楽しめました。
◆2015年11月~2016年1月までのラムヤイのコンサートから(2)
さらに、その時の会場の様子をうかがいながらステージを作っていくので、観客をのせるのが上手く、普通知らない歌手が歌っているとほとんど関心も示さないタイ人が、名前もまともに知らないであろうラムヤイの歌で踊りまくっているのを何度も目にしていると、一体どんな環境で育ってきたら、若い内からこんなセンスを習得できるのだろうかと、。
また、彼女はプロデューサーにも恵まれていて、仕事を沢山取ってくるので、無名に近い存在ながらもステージ数がかなり多く、最近は1日に2~3ヶ所回って、夜中まで歌う激務をこなすようになっていました。
◆2015年11月~2016年1月までのラムヤイのコンサートから(3)
歌いに行く先々で評判になり、コンサート会場がタイ料理のお店であったりすると、店のオーナーに気に入られたり、音楽関係者からも高い評価を受けていて、各方面からのラブコールも多く、徐々に名前が知れ渡るようになって来ていたところでした。
そんな時に追い討ちをかけたのが、冒頭で触れた1枚の写真でした。
◆ラムヤイが注目を集めるキッカケになった写真
これはあるコンサートでラムヤイが高々と脚を上げている写真なんですが、このエロティックな仕草が人の関心を引いたのでしょうか、芸能関係のメディアがこの無名の歌手をこぞって取り上げる事態となってしまいました。
実は、この写真を撮影したのは筆者です。2016年2月14日にバンコクのミンブリーにあるお店で行われたラムヤイのコンサートで撮影した写真の中の1枚でした。
この写真を筆者がラムヤイ本人に送ったところ、彼女がプロデューサーに送り、そのプロデューサーがFacebookに投稿したところ、芸能情報のWEBサイトがこの写真を取り上げ、それから瞬く間に拡散してしまいました。
◆ラムヤイのことを取り上げた幾つかのメディア
普段ラムヤイがステージでやっている事は、ラムシンのコンサートなどでは特別珍しいことでもなく、普段から目にしている事なので、筆者はそれほど深い事を考えず、この写真が単純に面白い写真だと思ってラムヤイに送ったのですが、それがまさか世間でこんなに大騒ぎされるとは思ってもいませんでした。
ただ、ラムシンのコンサートなどを知らない一般層にはこの写真でラムヤイがやっている事が相当いかがわしく思えたのでしょう。そこに好奇の目が集中してしまったようです。
以前、ステージで同じような仕草をして注目を集めた歌手がいました。「カン・フー(耳が痒い)」という曲をエロティックな動きを交えて歌った、ヂャ・カンフー(現在はヂャR-Siam)です。
◆ヂャR-Siam(จ๊ะ อาร์สยาม)
メディアがラムヤイの写真を見て、その仕草からかつて同じような事で世間をにぎわせたヂャを連想したのでしょう。そしてラムヤイに付けられたキャッチフレーズが「第2のヂャ・カンフー」でした。
しかし、ラムヤイは決してヂャの物まねをしている訳ではありませんし(確かに「カン・フー」をレパートリーにはしていますが)、彼女はラムシンのステージマナーに基づいてやっているだけなので、2人が並べて比較できる対象とは思えませんし、歌の実力で言ったら遥かにラムヤイの方が上です。
それに、こういうスキャンダラスな注目のされ方だと飽きられるのも早いですし、ラムヤイは本当に実力のあるポテンシャルの高い歌手ですから、出来れば時間がかかっても歌で人気が出ることが理想だったのですが、こういう注目のされ方になるとは全くの予想外でした。
オマケに、今回の事はインターネットの中だけで騒がれているだけにとどまらず、先日はとうとうテレビからお呼びがかかってしまいました。しかも、ケーブルテレビなどではなく、多くの一般層が見ている地上波の朝の情報番組から。
◆2016年2月24、25日のテレビ出演時のラムヤイ
今の騒動は時間が経てばいずれ収まるでしょうが、急激な状況の変化にラムヤイ当人も困惑しているようです。そして、この騒動がキッカケで心無い批判が彼女に浴びせられ、今まで熱心に通っていた学校を辞めなければならなくなってしまった事を考えると、筆者がラムヤイに写真を送らなければこんな事にならなかったのに、と後悔の念を禁じえません。
ただ、今回の事がキッカケで現在急激にコンサートのオファーも増え、今までのようにバンコク周辺だけでなく、イサーン方面でのコンサートも増えてきました。
◆今後予定されているコンサートの一部
また、今後、ラムヤイに曲を提供してくれるような人が現れたりするなど、良い結果が生まれれば、今回の事はそれはそれで良かったのかと思いますが、その辺はまだ様子を見ないと分かりません。
◆2015年12月31日、イサーンラムプルーンにて。
ラムヤイは筆者がこれまでタイで出会った歌手の中でも、これほどまでに才能と魅力を持ち合わせている人はいないと思えるほどの歌手で、筆者にとっては宝物のような存在です。
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