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第9回 イサーンの秘蔵っ子、ダーオ・チャリター

2014年10月1日 配信

今回はいつものライブリポートとは趣向を変えて、ひとりの歌手を紹介させて頂きたいと思います。

その歌手の名前はダーオ・チャリター(ดาว ชลิตา)。たぶん日本人はおろか、タイ人にもそれほど知られていない歌手ではないでしょうか。

◆ダーオ・チャリター(左)。隣はダーオの先輩歌手タッサポーン・トーンヂャン(ทัศพร ทองจันทร์)
ダーオ・チャリター

彼女はローイエット出身の女性歌手。というより、女の子歌手といった方が良いでしょうか。なんせ、まだ15歳なので。

ただ、歌を聴くとそんな年齢を感じさせない、ハスキーの歌声と大人顔負けの表現力、歌唱力にビックリします。

筆者がダーオの歌を初めて聴いたのは、彼女が所属している楽団「ドーク・ヂャーン・バン・トゥン・シン(ดอกจานบันเทิงศิลป์)」のコンサートを観に行った時でした。

◆ドーク・ヂャーン・バン・トゥン・シンでのダーオ
ダーオ・チャリター

この時彼女が歌った歌は4曲のみでしたが、それでもその声とラムシンも歌いこなす確かなテクニックに魅了され、将来性を感じさせられました。

その後、ダーオがアルバムを作っている事を知り、あるキッカケでそのCDを入手する事が出来ました。ただ、残念ながらこのアルバムは一般的な流通ルートでは販売されていないのですが。

◆ダーオのアルバム「コン・ペン・ター・ハック・ナッ(คนเป็นตาฮักเนาะ)」
ダーオ・チャリター

このアルバムを聴いて、さらにダーオの歌の魅力にとりつかれました。この子は滅多に現れないであろう逸材ではないか、と。

筆者は歌手の良し悪しを判断する時は、テクニックよりも表現力を重視していますが、ダーオは15歳という若さながらその表現力は数多いる成人のルークトゥン・モーラム歌手よりもはるかに優れていることは確かです。それは実際の歌を聴いてもらえればお分かりになるでしょう。

例えば「ムー・ハオ・チャーオ・カーイ・レーン(หมู่เฮาชาวขายแรง)」という曲では、大人顔負けの表情と歌唱力で歌の世界を表現していて、その見事さに脱帽します。

◆ダーオ・チャリター(ดาว ชลิตา)/ムー・ハオ・チャーオ・カーイ・レーン(หมู่เฮาชาวขายแรง)

とはいえ、ダーオもまだ15歳。その年齢らしい曲も歌っています。その辺はプロデューサーの配慮だと思いますが。

「コン・ペン・ター・ハック・ナッ(คนเป็นตาฮักเนาะ)」という曲がそういうタイプの曲ですが、彼女自身はたぶんいわゆるアイドル的な表現とかはあまり好みではないような気がしますね。これはあくまでも筆者の想像ですが。

◆ダーオ・チャリター(ดาว ชลิตา)/コン・ペン・ター・ハック・ナッ(คนเป็นตาฮักเนาะ)

さらに、ダーオの魅力の重要なポイントは、ラムなどを歌えるしっかりしたテクニックがあるという事です。単に表現力だけに頼ることなく、しっかりと歌を鍛錬している事がその点からも感じられます。

その辺は「プー・バオ・ソン・ハット(ผู้บ่าวซ่งฮัด)」や「ヂャイ・アーイ・ラーイ・グワー・ナム・ゲーン(ใจอ้ายร้ายกว่าน้ำแก่ง)」といったテンポの速い曲などに良く現れています。

◆ダーオ・チャリター(ดาว ชลิตา)/プー・バオ・ソン・ハット(ผู้บ่าวซ่งฮัด)

なお、この「プー・バオ・ソン・ハット(ผู้บ่าวซ่งฮัด)」という曲は、イサーン音楽界の重鎮ダーオ・バンドン(ดาว บ้านดอน)先生の手による曲。この点からもプロデューサーがどれだけダーオに可能性を感じているかがよく伝わってきます。

まだ将来性としては未知数のダーオ・チャリターですが、彼女の歌はジャンルや言葉の壁を越えて多くの人を魅了してくれることでしょう。

kapiraja
タイ音楽好きが高じて、現在現地調査中。ブログでも情報を発信しております。「タイ式エンタテイメントの楽しみ方」 http://blog.livedoor.jp/kapiraja1968/基本的にはジャンルにこだわっていませんが、どちらかといえばルークトゥン・モーラムに関する話題が多いです。
ゆくゆくは日本でのタイ音楽知名度がもっと上がれば良いと思っています。そして、タイと日本のミュージシャンとの交流がもっと盛んになってくれることを期待しています。

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