|
|
8月12日はタイではシリキット王妃の誕生日という事で母の日とされ、休日になっています。
毎年この日の前後には各地で沢山のイベントがあり、2014年も多くの人で賑わっていました。筆者もいくつかのイベントに顔を出しましたが、一番盛大だったのは8月12日当日にランシットで行われたイベントでした。
◆多くの歌手が出演予定のコンサートの看板
場所はフューチャー・パーク向かいにある広いスペースで、ここにステージが3つほど作られ、周りには出店が沢山出され、到着した18時頃には多くの人で賑わっていました。
この日はあいにくイベントが始まる直前に強い雨が降ってしまいましたが、スタート予定の19時頃には傘を差さなくてもよい程度まで止み、シリキット王妃をお祝いする行事が始まりました。
◆王妃の誕生日を称え花火が上がるなど、盛大な行事が行われました。
一通りの行事が終わり、20時過ぎにいよいよコンサートのスタートです。この日は若手からベテラン、そして伝説の歌手まで13組がラインナップされている、まさに母の日にふさわしい内容でした。
まず初めに登場したのが、その伝説の歌手ポンシー・ウォラヌット(ผ่องศรี วรนุช)でした。
◆ポンシー・ウォラヌット
彼女はルークトゥンの王スラポン・ソムバッチャルーンと同時期に活躍し、プムプアン・ドゥアンヂャンが登場する以前はルークトゥンの女王と呼ばれていた、一時代を築いた歌手です。1992年にはタイの国民的歌手としても選ばれています。
今年75歳と高齢になるポンシーですが、まだまだ健在の喉を聴かせてくれ、会場からも温かく迎えられていました。
伝説の歌手が歌った後ひとり挟み登場したのは、現代のレーでは第一人者といえるトサポン・ヒマパン(ทศพล หิมพานต์)です。
◆トサポン・ヒマパン
レー(แหล่)というのは仏教の詠唱から発展した音楽で、現在もタイ中部を中心に脈々と受け継がれています。
歌うには高度な技術が必要なので歌手の絶対数は少ないですが、その中でもトサポンは人気も高く才能もある歌手のひとりと言えます。
この日も彼が登場するなりお客さんが彼にマーライ(花輪)をあげる為にステージ前に殺到し、あっという間にマーライだらけになっていました。
トサポンで大いに盛り上がった後は、数人の若手男性歌手を挟み、「サーオ・ルーイ・ヤン・ロー(สาวเลยยังรอ)」のヒットで人気者になったサーオイェー・ヂェーティヤー(สาวแย้ เจติยา)の登場です。
◆サーオイェー・ヂェーティヤー
ヒット曲の余波を受けて、客席も盛り上がります。サーオイェーもお客をのせるのが上手く、ステージでのパフォーマンスも見応えがありました。
次に登場したはすでにベテランと言ってもよいユイ・ヤートユ(ยุ้ย ญาติเยอะ)でした。ただ、この日は酔っ払った性質の悪い客がいたようで、ちょっとご機嫌斜め。毎度、自分の子供をステージに上げて、お客の顔色を伺っておりましたが、もっと歌で勝負して欲しいですね。
ユイの後は若手の中でも実力が高く、個人的にも一目置いている歌手モッデーン・ジラーポン(มดแดง จิราพร)が登場しました。
◆モッデーン・ヂラーポン
彼女は音程の正確さもさることながら幅広い表現も出来る人で、若干ハスキーが入った声にも存在感があり、将来が楽しみな歌手のひとりです。
この日も2曲を歌っただけでしたが、緩急使い分けた歌が見事で、改めて彼女の魅力を再確認させられました。
この日のコンサートは伝説の初代ルークトゥンの女王の登場から始まりましたが、モッデーンが歌った後は、奇しくも「ルークトゥンの王の孫」の登場となりました。その人の名前はルークゲーウ・ソムバッチャルーン(ลูกแก้ว สมบัติเจริญ)。
◆ルークゲーウ・ソムバッチャルーン
スラポンの子供たちの中には芸能界で活躍している人もいますが、歌の世界で成功したとは言い切れないようです。そんな中、3世代目にあたる彼女の登場はルークトゥン・ファンにとっては大いに期待がかかる存在です。
今はまだ荒削りな感は否めませんが、ルックス的にも非常に見栄えがしますし、コンセプト次第では面白い歌手になるのではないか、と楽しみにしています。
ルークトゥンの王の孫の後は可愛い3人組みサーム・サーオ・シルバーゴールド(3 สาวซิลเวอร์โกลด์)の登場です。
◆サーム・サーオ・シルバーゴールド
◆左からオン・オラディー(อร อรดี)、ルークパット・ピムチャノック(ลูกปัด พิมพ์ชนก)、ヴィー・ヂラーポン(วี จิราพร)
「シルバーゴールドの3人娘」という意味のグループ名の彼女たちですが、シルバーゴールドというのは彼女たちが所属するレコード会社の名前です(正確にはノッポン・シルバーゴールド)。
このレコード会社にはかつて看板歌手だったメンポー・チョンティチャーが在籍していましたが、彼女の移籍で現在はこの3人が中心歌手と言えるでしょう。
この日歌ったのは最新曲2曲だけでしたが、リラックスしながらもしっかりと鍛錬された歌とダンスは見応えがありました。
小さいレコード会社なので、彼女たちが出演するコンサートが少ないのが残念ですが、実力もありますし、さらなる活躍を期待したい人たちです。
そしてこの日のコンサートのトリは、骨太のプア・チーウィットを聴かせてくれる歌手タンワー・ラーシータヌー(ธันวา ราศีธนู)でした。
◆タンワー・ラーシータヌー
筆者が彼のステージを観るのはこれが初めてでしたが、自身のバンドを引き連れての演奏は迫力もあり、さながらロックのコンサートのようでインパクトがありました。若者にも人気があるようで、タンワーが登場するとステージ前は人だかりになりました。
他の歌手は2~4曲を歌うだけだったのですが、タンワーはトリということもあって1時間近く演奏していました。客席もこの日最高の盛り上がりを見せ、母の日のお祝いムードのラストにふさわしいステージとなりました。
ただ、プア・チーウィット系のライブではよくあるのですが、若い人たちはお酒も飲みながら人ごみの中で踊ったりしているので、度々いざこざが起こることがあり結構危険です。
この日は事なきを得ましたが、タイでコンサートを観る時にはこの辺にも充分注意払っておかなければなりません。
タンワーのステージが終わったのが24時を回った頃。年に1度のお祝いをタイの人々共に過ごし、またひとつこの国の魅力を知ることが出来た気がする、充実したコンサートでした。
関連記事