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第5回 オーケストラで聴く極上のタイ音楽

2014年8月19日 配信

今の音楽は、タイに限らず世界的に機械による打ち込みで作られている物が主流になってしまっています。

それはコストが安くなるという理由が大きいのだと思いますが、音楽としては画一的になってしまい、深みが感じられなくなってしまったのは残念です。

しかし、稀に生演奏に触れる機会があったりすると、人間が演奏する音楽の良さを改めて実感させられたりするのも事実です。

そんな事を思わせてくれるコンサートを観る機会がありました。

◆タイ・エアフォース・シンフォニー・オーケストラ第8回公演の看板
第5回 オーケストラで聴く極上のタイ音楽

2014年6月24日タイ文化センターで開催されたこのコンサートはタイ空軍のオーケストラによるコンサートで、看板には今回で8回目と書かれています。

時期は折りしもクーデター直後でしたが、このコンサートは定期的に開かれているものの様で、今回はたまたまタイミングが重なってしまっただけで、クーデターとは直接関係なかったようです。

このコンサートは空軍オーケストラによる演奏はもちろん、豪華なゲストとの競演も大きな見所になっています。今回も俳優から伝統楽器の演奏家、ルークトゥン歌手まで多彩なメンバーがラインナップされていました。

◆厳かな雰囲気で始まったコンサート
第5回 オーケストラで聴く極上のタイ音楽

まずは厳かな雰囲気で始まったコンサートでしたが、オールディーズポップスのメドレー辺りからは客席も緊張感がほぐれ、堅苦しい音楽会とは違う和やかな空気が会場を包み始めました。

そしてゲストが登場すると、さらに場内は盛り上がります。

まず登場したのはミムことワランナパー・スタナメーティー(วรัณณภา สุธนเมธี)でした。彼女は鍛錬された喉でアメリカのポップスなどを歌い、場内を沸かせていました

◆ミム・ワランナパー
◆ミム・ワランナパー

続いて登場したのは2014年のタイフェスティバル東京にも出演したティーラナイ・ナ・ノーンカーイ(ธีรนัยน์ ณ หนองคาย)とギッティナン・チンサムラーン(กิตตินันท์ ชินสำราณ)の2人。特にギッティナンの美声には客席も大盛り上がりでした。

◆ティーラナンとギッティナン
ティーラナンとギッティナン

今回の出演ゲストの中で一番黄色い声援が飛んでいたのが、俳優のゴーンことサハラット・サンカプリーチャー(สหรัถ สังคปรีชา)が登場した時でした。彼は2枚目俳優ということもあって、女性からの人気は抜群のようでした。

◆サハラット・サンカプリーチャー
◆サハラット・サンカプリーチャー

4組目のゲストとして登場したのが、映画「風の前奏曲(โหมโรง)」にも出演し話題になった、タイの伝統楽器ラナートの演奏者クンインことナロンリット・トーサガー(ณรงค์ฤทธิ โตสง่า)です。

彼は映画の中でも見せていた超絶技巧をここでも披露していて、会場の度肝を抜いていました。

◆ナロンリット・トーサガー
◆ナロンリット・トーサガー

途中休憩を挟み、タイ版ナンタのパフォーマンスなどで盛り上がった後、いよいよルークトゥン歌手たちの登場です。

まず登場したのが、R-Siamのイン・ティティカーン(หญิง ธิติกานต์)。彼女は女性ルークトゥン歌手の中でも特に歌唱力に定評のある人ですが、この時は演奏がオーケストラということもあって、その歌がさらに輝きを増しているように聴こえました。

◆イン・ティティカーン
◆イン・ティティカーン

ルークトゥン歌手2番手はグラミー・ゴールドのパオことパオワリー・ポンピモン(เปาวลี พรพิมล)でした。彼女はまず空軍大将のトンチャイ・チェーラムケート氏と「プームペー・クルンテープ」をデュエット。

その後、プムプアン・ドゥアンヂャンの曲「サヤーム・ムアン・イム(サイアムは微笑みの国)」を歌ったのですが、この曲はクーデターが起きたばかりという時期的な事もあって、オーケストラの感動的な演奏と相まって、聴いていてこみ上げてくるものがありました。

◆パオワリー・ポンピモン
◆イン・ティティカーン

そしてルークトゥン歌手最後は、今やこの人なくしてはありえない、インリー・シーヂュムポン(หญิงลี ศรีจุมพล)の登場です。

まずはパオに続いて、プムプアン・ドゥアンジャンのカヴァーメドレーを披露。今、最もノッている歌手であることをまざまざと見せ付けてくれる勢いのある歌と踊りが見事です。

そして、最後はやっぱり大ヒット曲「コー・ヂャイ・ター・レーク・バー・トー」でした。これで会場が盛り上がらないはずはありませんでした。さらにオーケストラの演奏も素晴らしく、場内はこの日最高の盛り上がりを見せました。

◆インリー・シーヂュムポン
◆インリー・シーヂュムポン

オーケストラの演奏会というと、どこか堅苦しい雰囲気を想像してしまいがちですが、やはりここはタイ。終始、観客を楽しませようという空気があって、眠ってしまうどころか、最後まで興奮しっぱなしでした。

そして、改めて生演奏の素晴らしさを肌で感じることの出来たコンサートでした。

◆最後はゲスト陣を交えてのフィナーレ
◆最後はゲスト陣を交えてのフィナーレ

なお、このコンサートは入場料は無料。特に前もって予約なども必要なく、当日行けば入れるというものでした。

こんなところからも、やっぱりタイは音楽天国だなぁ、とつくづく実感させられます。

kapiraja
タイ音楽好きが高じて、現在現地調査中。ブログでも情報を発信しております。「タイ式エンタテイメントの楽しみ方」 http://blog.livedoor.jp/kapiraja1968/基本的にはジャンルにこだわっていませんが、どちらかといえばルークトゥン・モーラムに関する話題が多いです。
ゆくゆくは日本でのタイ音楽知名度がもっと上がれば良いと思っています。そして、タイと日本のミュージシャンとの交流がもっと盛んになってくれることを期待しています。

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