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今回も引き続きインリー・シーヂュムポンの事について書きたいと思います。
第1回目で取り上げた2014年5月31日のバーンプリー百年市場火災救済イベントから1週間もたたない6月4日、再びインリーが出演するイベントがありました。
場所はバンコクの隣にあるサムットサーコーン県にある港町マハーチャイ。ここでは毎年6月に大規模なお祭りが開かれていて、ルークトゥンをはじめ人気歌手が何組も出演します。
◆マハーチャイでのお祭りの看板。2014年は6月4~8日まで開催されました。
インリーはこのお祭りの初日にラインナップされていました。当日19時頃に会場に着くと、コンサート用の大きなステージやリケー(タイの大衆演劇)の舞台、沢山の屋台が出ていて、既に多くの人で賑わっていました。
20時過ぎた頃からお祭りの開催を告げる花火が上がり、ステージでは前座の歌手やお笑いが登場し、客席を盛り上げていました。
◆なかなか上手かった前座の歌手。ダンスも本格的で結構楽しめました。
しかし、時期は雨期。21時辺りから怪しい風が吹いてくると、ポツリポツリと雨が降り始め、21時半頃になると本降りになってしまいました。当然、ステージも続けていることができず、我々観客も一時雨宿りできる場所へ避難する事に。
通常、タイの雨は短時間にザッと降ってすぐ止むので、それを期待していたのですが、この日は運悪くなかなか止みません。しかも結構強い降りが長く続きました。
◆かなり強い降りの雨になってしまいました。
コンサートが始まるだいたい23時頃です。しかし、その時間近くになっても雨は降り続いていました。インリーは既に会場に到着し、歌う準備は整っていました。
多少の雨降りならコンサートを強行する事はあっても、この日のような強い降り場合は中止になってもおかしくない状況です。中には帰ってしまうお客さんもいましたが、自分は正式な中止の発表がなかったので、様子を見ることにしました。
すると、23時過ぎに司会者から「インリーが屋根のあるサーラー(東屋)で歌ってくれるという事なので、皆さんそちらへ移動してください」とのアナウンスがありました。
観客は一斉に大移動。狭い東屋が大変な状況になってしまいました。そして、そこに厳重な警備を伴って現れたインリー。状況も状況だったので、観客は大人気歌手を見られた喜びを爆発させていました。
◆東屋に登場したインリー。
◆ダンサーにいろいろ指示を出していました。
これは自分の想像ですが、中止にしても良い状況でインリーはそれを選ばなかったのではないのでしょうか。せっかく来てくれているお客さんに少しでも歌ってあげたい、場所を変えてでも良いから。そんなやりとりがあったのではないかな、と。
そんな大変な状況で歌ってくれたインリー。しかし、急場しのぎだったので音響設備は用意できず、音は20~30メートルはあるであろう遠く離れたステージのスピーカーから流すというかなり無茶な状況でした。
当然、バックの音と歌がずれてしまい、高い歌唱力を持つ彼女でもこの状況はなかなか難しかったようです。結局、アカペラなどで歌うなどしてその場をしのいでくれましたが、そうこうする内に雨も徐々に弱くなってきました。
このくらいの降りならステージでも歌える、とのインリーの一声で、観客も再びステージへ大移動。ようやく、満足いく状態でのコンサートの開始されました。時間は23時半を回っていました。
◆傘を差しながらもコンサートは行われました。
状況さえ良ければすし詰め状態になっていたであろう客席は、残念ながらかなり少ない人数になってしまいましたが、それでもインリーは精一杯歌ってくれたと思います。観客もこの日を楽しみしていたのでしょう、かなりエキサイトしていたようです。
大ヒット曲「コー・ヂャイ・ター・レーク・バー・トー(ขอใจเธอแลกเบอร์โทร)」はもちろん、アルバムのタイトル曲「カー・カオ・サーオ・ラムシン(ขาขาวสาวลำซิ่ง)」、新曲「テーン・カン・ラン(แทนข้างหลัง)」など、彼女のもち歌を余すことなく披露してくれました。
しかし、折りしもこの時は夜間外出禁止令が発令されている時。コンサートも24時までには終わらせなければなりませんでした。
23時半過ぎから始まったステージでしたので時間はほんのわずかでしたが、それでもインリーは観客が充分満足できる中身の濃いコンサートを披露してくれた気がします。
そして、中止を選ばなかったインリーの配慮には本当に胸を打たれました。その時感じたのは、単純に歌がヒットしたというだけでは今の彼女の人気は無かったのではないだろうか、という事です。
常に人を思いやる気持ちこそ、今インリーが多くの人から信頼を集めている理由なのではないかと、そう感じさせてくれた彼女の2回のイベントでした。
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