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はじめまして。kapirajaと申します。これからしばらくタイの音楽に関するコラムを書かせていただくことになりました。
現地で体験したコンサートのリポートなどを中心に、注目の歌手や旬なトピックスなど、様々な角度からタイ音楽の魅力を伝えられればと思っています。このコラムを読んで、少しでもタイの音楽に興味を持つ人が増えてくれると嬉しいです。
記念すべき第1回目は、今まさに旬の歌手インリー・シーヂュムポン(หญิงลี ศรีจุมพล)を取り上げたいと思います。
彼女の大ヒット曲「コー・ヂャイ・ター・レーク・バー・トー(ขอใจเธอแลกเบอร์โทร)」はYouTubeでの再生回数が1億回を突破したことは、こちらのタイランドハイパーリンクスでも報告されていましたので、ご存知の方も多いと思います。 (参照 ルークトゥン曲が大ヒット!インリーの『コージャイトーレークバートー』がYouTubeで再生回数一億を突破!)
さらに様々な賞も総なめ状態の彼女は、当然コンサート活動も大忙し。毎日のようにどこかで歌ったり、イベントに顔を出したりする日々が続いています。
そんな自分の事だけでも精一杯であろう彼女が、何よりもまず第一に考えているのは自分のことよりも人の事なんだと感じられた出来事が幾つかありました。
まずひとつは、去る2014年5月20日に起きたバーンプリー百年市場(サムットプラカーン県)での火災についてです。
この事は大きく報道もされていたのでご存知の方も多いと思います。150年以上続いた由緒あるマーケットが、一部とはいえ全焼してしまうという痛ましい事故でした。
◆実際に火災があった現場。バーンプリー百年市場はスワンナプーム空港の南側にあります。
再建には当然多額の費用がかかることは想像に難くありません。しかも、基本的に土日しか開かれていない市場では、元通りになるまでにどれくらいの時間がかかることやら。
そのニュースを知って即座に行動に移したのが、何を隠そう、今タイで一番忙しいであろう人、インリーでした。
彼女は火災が起きてから1週間弱という短時間でTシャツを作り、ファンの皆に市場再建の為の寄付を募りました。
そして、5月31日にはインリー本人がバーンプリー百年市場に来て、Tシャツの販売と募金を行うとの事。さらに、歌も歌うから来て欲しいとFacebookなどで呼びかけていました。自分もそれを知って少しでも力になれればと思い、当日バーンプリーへ行ってきました。
この日は立っているだけでも汗が滴り落ちてくるうだるような暑さ。オープンエリアなので当然冷房などはありません。しかも空きスペースにテントを張っただけの会場に、本当にあんな人気歌手が来るのだろうか?と来るまでは、半信半疑でした。
◆当日の会場はこんな感じでした。
しかし、彼女は本当に来てくれました。忙しい合間を縫って、もし休みだったら少しくらいはゆっくりしたいと思うのが普通ですが、そういったことも返上して困っている人の為に動くということを最優先させてくれたのです。
◆会場に到着したインリー
◆今回の募金について説明するインリー。彼女が着ているのが寄付用に作られたTシャツです。
彼女が日々の激務で相当疲れているであろう事は容易に想像できますが、そんな疲れを微塵も見せず、時には司会の人と談笑しながら熱心に市場再建の募金について説明するインリーの姿はそれだけでも感動的でした。
しかも、この日はインリーだけでなく、彼女の師匠とも言えるプロデューサーのサワット・サーラカーム(สวัสดิ์ สารคาม)先生と「コー・ヂャイ・ター・・・」の作者であるボーイ・ケームラート(บอย เขมราฐ)先生も会場に駆けつけてくれました。多分、インリーが呼んだんだと思いますが、そこからも彼女の本気ぶりがうかがい知れるようでした。
◆インリー本人からは2万バーツが寄付されました。
◆会場に駆けつけてくれたサワット・サーラカーム先生(向かって右端)とボーイ・ケームラート先生(左端)
そして、お約束であった歌の披露ですが、こんな即席会場ではまともな音響設備なんかありません。当然しっかりとした歌など聴かせられる訳ではないのですが、それでも彼女は歌ってくれました。曲数はわずか2曲でしたが、他のコンサートで聴くよりもはるかに印象に残る歌でした。
◆歌を披露してくれたインリー。背中は汗だくでした。
◆今回集まった寄付金はインリーから市場関係者に渡されました。
当日はテレビの撮影部隊もいくつか来ていましたので、この人気歌手の行動は報道もされたかもしれません。
◆テレビ用の撮影も行われていました。
今回の事は通常のコンサートで歌手を見るというのとはちょっと違いますが、歌手の素顔が垣間見れたようで、とても貴重な体験になりました。
何よりも、インリーの行動の迅速さ、そして困っている人の為に自分の出来ることをしようという、その熱い思いがひしひしと伝わってくるようで、これこそ彼女が人気がある本当の理由なのかな、とそんな事も感じられました。
この後、別の場所で再びインリーの思いやりに触れる機会がありましたので、次回そのことについて書きたいと思います。
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第2回 インリー・シーヂュムポン(2) 雨の日の決断
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