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【2025年4月20日】タイ警察中央捜査局(CIB)は、東北部ウボンラチャタニー県の道路2050号線にて、白い箱型トラックを強制停止させた。荷台からはバイク9台、鍵9本が確認され、運転席の男と助手席の女は、その場で確保された。時間は午前3時。国境まで残された距離は、数キロにも満たなかった。
事前に寄せられていた情報は、特定の白い車両がバイクを積み、自然経路を使ってラオスへ運搬するというもの。現場で車両を開けた瞬間、警察は確信を得たという。荷台に並ぶバイク。対応する鍵。それらが語る整然さ。それは密輸の現場だったのか、あるいはただの委託配送だったのか。果たして、その真偽を見極められるのは、天のみだったかもしれない。
女は、「LINEで頼まれた」「場所はいつも当日知らされる」「相手の顔は知らない」と説明したという。今回が5回目の輸送であったことも認められており、パトゥムターニーで積まれたバイクは、ウボン県のガソリンスタンド近くで受け渡される予定だった。最終的にバイクはラオスへ渡るという段取りだったが、その“受け取り手”が誰であるかは、女自身も知らされていなかった。
摘発の直後、運転手のスマートフォンが鳴った。LINE通話。画面には“ミント”と表示されていた。通話の中で、発注者とされる人物は「なんとか、ならないか」と話したという。金銭による解決の申し出だった可能性は高いが、警察はそれを一蹴。拒絶の判断は即断であり、迷いはなかった。
車両とバイクは押収。2人の身柄も確保された。“ミント”という名前の実在性は確認されておらず、それが個人名なのか組織的なコードネームなのかも定かではない。ただひとつ確かなのは、あの夜、CIBがそこにいたということ。それだけで、この計画は終わっていた。
LINEで動き、顔を知らず、場所も当日に送られてくる。それを“仕事”と呼ぶ者がいたとしても、不思議ではない。越境の風を読んだつもりだったかもしれない。だが、その先には、CIBがいた。そして一歩も進ませなかった。
タイ中央捜査局(CIB)
プロフェッショナルで中立、国民と共に。
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