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米大使館「深く懸念」 タイ不敬罪で起訴の米学者は保釈認められず

2025年4月9日 配信

学問の自由への影響も――タイにおける表現の自由が国際的注目を集める

2025年4月8日、タイ・ピッサヌローク県地方裁判所は、不敬罪およびコンピュータ犯罪法違反の容疑で起訴された米国人学者 Paul Chambers の保釈申請を却下しました。これを受けて、バンコクの米国大使館は「深く懸念している」との声明を発表し、タイ政府に対して表現の自由の尊重を強く求める姿勢を明確にしました。



米国務省の報道官 Tammy Bruce 氏は、「Paul Chambers氏が不敬罪とコンピュータ犯罪法で逮捕されたことに衝撃を受けており、本件を注意深く監視している。米国は条約同盟国として、氏が公正に扱われるよう働きかけていく」と述べ、タイ当局と緊密に連絡を取っていることを明らかにしました。

Chambers氏は、ピッサヌロークのナレースワン大学で国際関係の特別顧問および講師を務める学者で、1993年からタイに在住。アジアの民軍関係と民主主義を研究し、世界的にもその見識が評価されています。著書に『Khaki Capital』や『Praetorian Kingdom』などがあり、特にタイの軍事体制に関する論考で知られています。

今回の逮捕は、タイ陸軍第3管区によって提出された告発に基づくもので、容疑は2024年10月に開催されたウェビナーの紹介文に関するものだとされています。Chambers氏は「自分はその文章を執筆も掲載もしていない」と容疑を全面否認しています。

この事件を受け、タイ人権弁護士グループ(TLHR)の Akarachai Chaimaneekarakate 弁護士は「これは、タイにおける学問の自由への重大な脅威だ」と警鐘を鳴らしました。

また、Human Rights Watchの上級研究員 Sunai Phasuk 氏は、「Paul Chambers氏は長年にわたり、超王党派グループからの標的とされてきた」と述べ、SNSでの誹謗中傷や国外退去の圧力にさらされていた実態を明かしています。

非常に稀な「外国人に対する不敬罪」の適用であり、この件がタイ国内外に与える影響は大きく、学術的自由と表現の自由に対する締め付けが国際的に批判される事態となっています。

 

タイ当局による Paul Chambers の逮捕について

報道声明
Tammy Bruce(米国国務省報道官)
2025年4月8日

アメリカ合衆国は、米国市民 Paul Chambers がタイにおいて、不敬罪およびコンピュータ犯罪法違反の容疑で逮捕されたことに強い懸念を抱いており、この状況を注意深く監視しています。米国国務省は、在外米国市民への支援を重要な責務として真剣に取り組んでおり、本件についてタイ当局と連絡を取っています。

この事案は、タイにおける不敬罪の適用に関して、我々が長年抱いてきた懸念を改めて浮き彫りにするものです。私たちは引き続き、タイ当局に対し表現の自由を尊重すること、そして法律が認められた表現を抑圧する手段として使用されないよう求めていきます。タイと条約上の同盟国である米国は、本件を注視し、Paul Chambers が公正に扱われるよう支援を続けます。

バンコクの米国大使館に所属する領事官は、Paul Chambers に対して必要かつ適切な領事支援を提供しています。私たちは、彼の健康と安全を確認し、必要な支援を行うために面会の許可を要請しています。

■On the Thai Authorities’ Arrest of Paul Chambers

 

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