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タイ保健省は2025年4月4日、北部チェンマイ県メーアーイ郡を流れるコック川(タイ語:แม่น้ำกก)で、基準値を超えるヒ素および鉛が検出されたと発表しました。これを受け、下流に位置するチェンライ県でも、住民に対して健康への注意喚起が行われています。
調査によると、コック川上流のケーントゥム村付近では、ヒ素が0.026mg/L(基準値:0.01mg/L以下)、鉛が0.076mg/L(基準値:0.05mg/L以下)と、いずれも水質基準を超過していました。これにより、皮膚の発疹、吐き気、下痢などの急性症状のほか、長期的には神経系への影響や皮膚がんのリスクが懸念されています。
コック川は、ミャンマー東部のシャン州を水源とし、チェンマイ県メーアーイ郡を経て、チェンライ県ムアン郡、ウィアンチャイ郡、チェンセン郡などを流れる重要な水源です。農業、観光、水道水の供給にも利用されており、広範囲にわたる影響が予想されます。
チェンライ県保健事務所の発表による注意点:
・コック川の水を直接使用しない(飲用・調理・洗浄・入浴など)
・チェンライ市内の水道水は、浄水処理されているため使用可能
・皮膚異常、腹痛、下痢、吐き気などの症状が出た場合は速やかに医療機関を受診
・政府発表以外の非公式な情報の拡散を控える
また、保健省は、汚染地域で採取された魚介類についても注意が必要であるとしています。ヒ素などの重金属は体内に蓄積される性質があるため、摂取による健康リスクが懸念されます。
なお、汚染の原因については、コック川の上流であるミャンマー・シャン州において行われている小規模な金鉱の採掘作業が影響している可能性があります。現地では地表の掘削が広範囲にわたり行われており、その排水がコック川に流入している様子が、住民によって撮影・報告されています。
保健当局は、引き続き水質の検査と状況の監視を継続し、必要に応じて関係機関と連携を図りながら、対応を進めていく方針です。
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