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【バンコク=2025年3月22日】タイ入国管理局は3月22日、中国でおよそ110億バーツ(約24億元)にのぼる巨額詐欺事件に関与したとして国際手配されていた中国人の逃亡容疑者を、バンコク市内の高級ホテルで逮捕したと発表しました。
逮捕されたのは中国籍の杜南(ドゥ・ナン)容疑者です。容疑者は逃亡中、「張偉(チャン・ウェイ)」という偽名を使い、バヌアツのパスポートを取得して外国籍を装いながら、タイ国内に潜伏していたとみられています。
入国管理局によりますと、今年3月初旬に「張偉」と名乗る外国人が入国管理法に違反している可能性があるとの情報提供を受け、調査を開始しました。生体認証データベースとの照合の結果、容疑者の顔の特徴がバヌアツ国籍の「杜南」と一致し、両者が同一人物であることが判明したということです。
その後の調査で、容疑者がバンコク・ラチャプラソン地区にある高級ホテルに滞在していることが確認され、捜査員による監視が続けられました。
容疑者は非常に警戒心が強く、ホテルの外には出ず、すべてのやり取りをルームサービスで済ませていたため、監視体制は強化されたということです。
そして3月21日午後2時30分頃、容疑者がホテルのロビーに姿を現したため、入国管理局の職員がパスポートの提示を求めました。容疑者は当初、「中国人ではない」「パスポートを失くした」と述べた上で、スマートフォンに保存されたバヌアツのパスポート画像を提示しましたが、そのビザはすでに期限切れとなっていました。職員は入国管理法違反(オーバーステイ)の容疑でその場で容疑者を拘束しました。
その後、国際的な情報照会を通じて、容疑者が中国の杜南であることが最終的に確認されました。杜容疑者は2024年に中国・山東省の大手建設会社で発生した詐欺事件に関与しており、不正に流用された金額は24億元(約110億バーツ)にのぼるとされています。
タイ入国管理局の副局長は、「今回の逮捕は、生体認証システムや情報技術の活用、市民からの通報といった複数の要素が組み合わさった成果です」と述べ、国民の協力の重要性を強調しました。
現在、杜容疑者は関係当局に身柄を引き渡されており、今後は法的手続きや中国への身柄引き渡しが検討される見込みです。
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