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タイのホテル業界が、無許可の短期レンタルに対する取り締まり強化を政府に求めています。Airbnbなどのオンラインプラットフォームを通じた違法な宿泊提供が増加し、ホテル業界の市場を脅かしているほか、安全面での懸念も指摘されています。2025年3月10日の各報道が伝えています。
タイホテル協会(THA)によると、特に問題視されているのは「ゼロドル・コンドミニアム」と呼ばれる形態です。これは、主に中国人投資家がコンドミニアムのユニットを複数購入し、ホテルよりも大幅に安い価格で短期レンタルを提供するものです。この行為は2004年施行の「ホテル法」に違反しており、地元住民の間でもトラブルの原因となっています。
THAのティエンプラシット・チャイヤパットラナン会長は、「こうした無許可の短期レンタルは法の整合性を損ない、正規のホテル業界に大きな影響を与えている」と強い懸念を示しました。さらに、「コンドミニアムだけでなく、住宅団地内のユニットでも日貸しは違法」と指摘し、違法レンタルを助長するオンラインプラットフォームへの規制も求めています。
THAは、無許可の短期レンタルが市場競争を歪めているだけでなく、安全面のリスクも高めていると指摘します。法律では、外国人旅行者が宿泊した際には24時間以内に入国管理局へ報告する義務がありますが、多くの無許可レンタルではこの手続きを行っておらず、治安面での問題を引き起こす可能性があるといいます。
この問題に対し、THAは政府に以下のような措置を提案しています。
また、現在議論されている外国人によるコンドミニアム所有率の引き上げ(現行49%から75%へ)についても、THAは反対の立場を示しています。ティエンプラシット会長は、「この規制緩和は居住目的ではなく、投機目的の購入を助長するだけ」と指摘しました。特にプーケットなどの観光地では、外国人が過剰にヴィラを購入する事態が懸念されているということです。
センタラ ホテル&リゾーツのティラユット・チラティワットCEOも、「無許可の短期レンタル市場は不公正なビジネスだ」と批判しました。ホテルは営業ライセンスの取得や運営コストがかかる一方で、コンドミニアムの短期レンタルはほとんどコストなしで提供できるため、公平な競争になっていないと指摘します。
また、コロナ禍を経て、中国人観光客が団体旅行から個人旅行にシフトしたことで、宿泊料金や観光消費が増加していることにも言及しました。「低予算の観光客を減らし、質の高い旅行者を呼び込むことが、タイの観光業界にとってプラスになる」と述べ、「タイの文化を楽しみ、適切に消費する観光客を求めている」と強調しました。
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