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タイの出生率低下が深刻な問題となっており、専門家は政府に対し、早急な対応を求めています。このままの傾向が続けば、将来的に国内の労働力が大幅に縮小する可能性があるとしています。バンコクポストが2025年2月2日に伝えています。
報道によるとマヒドン大学人口社会研究所の所長は、記者会見でこの問題に関する懸念を表明しました。県行政局登録管理局のデータによりますと、タイの人口は2024年12月31日時点で65,951,210人に達しています。しかし、昨年の出生数は462,240人にとどまり、1949年以来初めて50万人を下回りました。また、2024年は死亡数が出生数を上回る状況が4年連続で続く年となりました。1963年から1983年にかけて、タイでは毎年100万人以上の新生児が誕生していましたが、近年はその数が急激に減少しています。
政府は現在、少子化対策として「子どもを産もう、素晴らしい世界が待っている(Give Birth, Great World)」キャンペーンを展開しています。しかし、所長は、この施策が十分な効果を上げていないと指摘し、なぜ出生率の向上につながっていないのかを検証し、改善策を講じる必要があると述べました。このキャンペーンは、若い夫婦に対し子育てのメリットを啓発し、出産を促すことを目的としていますが、多くの若者が出産を先延ばしにしたり、そもそも子どもを持たない選択をする傾向が強まっています。
タイは東南アジア諸国の中で唯一、出生率が低下している国であるとされており、この状況を危惧する声が高まっています。出生率の低下が顕著な国々の多くは高所得の先進国ですが、タイの総出生率(TFR)は昨年1.0にまで低下し、日本の1.2を下回る水準となりました。これにより、タイは韓国やシンガポールと並ぶ「超低出生率国」と位置づけられるようになりました。
人口の減少は、今後の労働力にも大きな影響を及ぼすとみられています。現在の6500万人超の人口は、50年以内に4000万人にまで減少する可能性があり、これは2年ごとに約100万人が減少する計算になります。所長は、このままの状況が続けば、50年後には労働者人口が現在の約半分にあたる2280万人にまで減少すると予測しています。
マヒドン大学人口社会研究所が28歳以上のタイ人1000人を対象に行った調査では、回答者の約71%が出生率低下を「危機」と認識していることが明らかになりました。しかし、実際に子どもを持つ予定があると答えた人は35.8%にとどまり、約30%は「まだ決めかねている」と回答。所長は、「適切な支援があれば、現在迷っている人たちも子どもを持つ決断をするかもしれません」と述べ、政府のさらなる対策が求められるとの見解を示しました。
■Experts urge action as declining birth rate set to hit Thai workforce
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