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タイ労働省は、民間および公務員の退職年齢を65歳に引き上げる方針を固めました。これはシンガポールやスイスと同様の措置であり、健康寿命の延伸や医療の進展に伴い、働く期間を延ばす考えが背景にあります。ピパット・ラチャキットプラカーン労働大臣は、2024年10月25日の発表で、今後数年間でこの変更が実施される見込みであると述べました。バンコクポストが伝えています。
また、タイ労働省は社会保障法の改正を進めており、ミャンマー、ラオス、カンボジアからの移民労働者を含む約200万人が社会保障の対象となる予定です。これにより、自営業者や現在社会保障制度に含まれていないタクシー運転手やデリバリーライダー、農業従事者、家事労働者、露店商なども新たに登録される見通しです。
社会保障の持続性を高めるため、タイ労働省は雇用主と被雇用者の拠出金をそれぞれ2%引き上げ、政府も2.5%を拠出する案を提示しました。これにより、総拠出率が6.25%増加することとなります。また、通貨価値に合わせた賃金上限や給与の調整も計画されています。
ピパット大臣によると、社会保障基金の最大の支出項目である医療費(年間約600億バーツ)については、変動費を固定費とする方針です。これにより、費用を保険会社に委託し、基金の費用負担を安定化させる狙いです。
社会保障基金は2025年に5%以上のリターンを目指しており、2023年の2.3~2.4%からの大幅な引き上げを図ります。基金は米国やヨーロッパ市場への海外投資で6~7%の利益を生み出しており、投資戦略も見直す予定です。低リスク資産に65%、高リスク資産に35%を投じる形に改め、現在の70/30比率から変更する計画です。
労働省は、持続的な資産運用によって、高齢化社会に対応しつつ基金の長期的な財政安定を図ることが重要だと述べています。対策を講じなければ、社会保障基金は今後30年以内に枯渇する可能性があるとの警告も発しています。
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