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タイ当局は、マラリア患者の増加に懸念を表明しています。タイ保健省疾病管理局(DDC)によると、マラリア患者の数は前週から835件増加しています。2023年7月20日にタイ国営メディアNNTが伝えています。
特に、森林地帯の近くに住む農民、林業関係者、森林に隣接する国境地帯をパトロールする兵士、ハイキングが好きな人々に対して特別な警告を発しました。疾病管理局は、現在の雨季は様々な種類の蚊が繁殖する好条件であり、主に夜間に刺すハマダラカが媒介するマラリアのリスクが高まっていると指摘しました。
疾病管理局は、森林地帯で一夜を過ごす際には、ぴったりとした衣服を着用し、蚊取り線香を使用し、蚊帳の下で寝るよう一般市民に勧告しています。これらの予防策は、デング熱やチクングニア熱など、蚊が媒介する他の病気の予防にも役立ちます。
マラリア・オンライン・システムの報告によると、タイでは2023年1月1日から7月7日までに約9,300人のマラリア患者が発生しました。患者数が最も多かった県は、ターク県の5,500人、メーホンソン県の1,000人、カンチャナブリ県の945人でした。患者の内訳は、タイ人が4,100人、外国人が5,100人。これまでに3人の死者が出ており、いずれもターク県で報告されています。
マラリアを媒介する蚊は通常、森林地帯に生息しています。リスクの高い地域、特に森林地帯や国境付近の住民は、集団感染の影響を最も受けやすくなっています。マラリアの症状には、発熱、悪寒、頭痛、吐き気、食欲不振などがあり、通常、刺されてから約10~14日後に現れます。
速やかに医師の診察を受ければ、短期間のうちに薬物療法で効果的に治療することができます。しかし、治療が遅れると、脳マラリア、肺水腫、腎不全などの重篤な合併症を引き起こし、死に至る可能性があります。
マラリア
マラリア原虫をもった蚊(ハマダラカ属)に刺されることで感染する病気です。
世界中の熱帯・亜熱帯地域で流行しており、2018年11月に公表された統計によると、1年間に約2億2000万人が感染し、推計43万5,000人が死亡しています。日本でも60人前後が輸入感染症として届け出られています。
1週間から4週間ほどの潜伏期間をおいて、発熱、寒気、頭痛、嘔吐、関節痛、筋肉痛などの症状が出ます。
マラリアには5種類(熱帯熱マラリア、三日熱マラリア、四日熱マラリア、卵形マラリア、サルマラリアPlasmodium knowlesi)があります。その中でも、熱帯熱マラリアは発症から24時間以内に治療しないと重症化し、しばしば死に至ります。脳症、腎症、肺水腫、出血傾向、重症貧血など、さまざまな合併症がみられます。
出典:厚生労働省検疫所FORTHホームページ
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