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ニューヨークとロンドンに本拠を置く格付け会社のフィッチは、タイの長期外貨建て発行体デフォルト格付け(IDR)をBBB+に据え置き、見通しは安定的としました。2023年7月12日にタイ国営メディアNNTが伝えています。
フィッチは報告書の中で、タイの実質GDP成長率を2022年の2.6%から2023年に3.7%、2024年に3.8%と予測していると述べました。また、経済見通しは、主要な供給源市場からのますます広範な観光復興と、引き続き支持的な政策設定のもとでの労働市場の着実な回復に伴う堅調な個人消費によって強化されるだろうとしています。しかし、世界的な需要の低迷と先進国の金融引き締めの遅行効果から、輸出は引き続き逆風に直面するとのことです。
フィッチは、国際観光客の入国者数が2022年の1,120万人から2023年には約2,900万人に増加するとの楽観的な見方を示しました。また、中国の早期再開を受け、タイの観光回復の見通しが改善したと付け加え、タイの弾力的な対外ポジションは依然として中核的な強みであり、逼迫した世界金融情勢や地政学的リスクに対する緩衝材となっていると強調しました。フィッチは、2023年の経常黒字を対GDP比2.0%、2024年には3.9%に拡大し、過去2年間の平均赤字2.8%を逆転すると予測しています。この調整は、観光収入増と原油価格下落に伴う交易条件ショックの減少という予測を反映しています。
一方、政府債務は2025会計年度にはGDPの55.9%まで増加すると予想され、これはBBBカテゴリーの国の中央値と同じです。ヘッドラインインフレ率は2022年の6.1%に対し平均2.0%と予想され、タイ銀行の目標バンド1.0〜3%内に収まります。
また、長引く政治的不確実性がタイの短期的な経済・財政政策の見通しに影響を与える可能性があるとの懸念を表明。それでも、新政権の発足が長期化することで、効果的な政策立案に影響が出る可能性はあるものの、そのような結果が政府の主要な経済開発戦略に大きな変更をもたらす可能性は低いとフィッチはみています。
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