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2023年1月28日(土)、SETUPタイランドプロレスリングによる大会「SETUP THAILAND PRO WRESTLING EP.11」(会場バンコク・サーカススタジオ)が開催されました。この記事では、本大会のプロレス観戦レポートをお届けします。
記事を担当しているのは、これまで人生で一度もプロレスの試合を見に行ったことがない大学生です。プロレスのテレビ番組を見かけたことはあっても、じっくり見たことはありません。技名は勿論、勝敗の決まり方も詳しくは知らない始末。
そんな”超”初心者の大学生によるリポートとなっておりますので、プロレス好きの方からすれば信じられない感想や疑問もあるかもしれません。ご了承下さい。
2023年1月28日(土)、18時の開場前からこの日の試合を見に沢山の人がバンコク・サーカススタジオに集まってきました。
開場すると、どんどん観客が入ってきてあっという間にほぼ満席の状態に。体感としては、男性8割女性2割くらいでしょうか。今日の試合の出場選手の影響か、タイ人だけではなく欧米系のお客さんもいましたし、大人だけではなく家族と一緒に来ている小さなお子さんもいました。
18時30分になると、会場のBGMが変わり、いよい大会が始まります。観客からは自然と手拍子が起こり、1試合目の選手が登場します。
・1試合目 エキシビションマッチ Akaradeth 対 Nont
この試合はCHANCE OF A LIFETIMEと銘打たれたもので、まだデビュー前の選手達の試合。勝者には次のSETUP THAILAND EP.12でのデビューの権利が与えられます。今回対戦するお二人は長い間一緒にトレーニングをした仲間であり、お互いのことを良く知っているとのこと。
選手が登場すると、配信用のカメラに向かってもばっちりパフォーマンス。対戦相手を煽るしぐさも見せていて、自分が想像していたよりも”ショー”の要素が強いと感じます。ここで少し驚いたのが、プロレスをする格好。何となくのイメージで、プロレスのコスチュームというと派手で屈強そうなものと思っていたのですが、この試合では黒無地の長袖Tシャツやタンクトップにロングパンツ。想像していたよりラフな格好なのが印象的でした。
試合開始のゴングが鳴ると、服装から抱いたイメージとは違い、激しい試合が繰り広げられます。技名も何も分からないのですが、体が床に叩きつけられる場面などは選手が顔をしかめていて、技の威力や迫力を感じられます。
この試合は約9分でNontさんの勝利となりました。勝者は次のSETUP THAILAND EP.12でのデビューが決まるとのことでしたが、名前を「Nont」から「 Anont Alonzo 」に改められるそうです。
勝者:Nont(9分1秒)
・2試合目 SETUP THAILAND OPENWEIGHT CHAMPIONSHIP Terry Diesel 対 Monomoth
続いて2試合目。今回登場したお二人は先ほどの第一試合と打って変わって、ザ・プロレスラーという恰好。ですが、Monomothさんのコスチュームにはいたるところにスパンコールが散りばめられていて、とても華やかです。 Monomothさんは細身ながら筋肉が良くついて引き締まったスタイル、Jerry Dieselさんはとにかく体格が良いという印象だったので、最初見たときは「体格差のあるこの二人で試合をするの!?」と驚きました。
試合が始まると、お互いに激しくぶつかり合います。技をかけたりかけられたりするたびにMonomothさんのコスチュームのスパンコールがリング上に飛び散っていて、試合の激しさを物語っています。ちなみにこのスパンコールはSETUP THAILAND所属のMATCHA選手が回収していました。
この試合で驚いたのが、選手たちがリング外でも闘いを繰り広げていたこと。プロレスって外に出るのもありなんですね!
約20分に及ぶ激闘を制したのはMonomothさん。会場からは黄色い歓声も上がっていました。
勝者:Monomoth(19分20秒)
・3試合目 MONSTER SINGLE MATCH 河童大王 対 河童小僧
そして3試合目。河童大王と河童小僧の一戦です。線香を炊いて登場するという演出もあり、中々の癖の強さ。聞くところによると、これまでのSETUPの大会でもこの河童たちが登場していて、ストーリーもあるのだそうです。私は今回が初めての観戦だったので見た目のインパクトに気を取られましたが、物語に注目してみてみるのも面白いかもしれませんね。
そして肝心の試合はと言うと、約1分で決着がつくという結果に。河童大王の勝利が決まると会場が暗転。再度明かりがつくとお仕置きのようなものが始まり、終わるとそのまま退場。「これも、プロレス…??」と頭の中が混乱する混沌とした試合でした。
勝者:河童大王(1分11秒)
河童大王との一騎打ち、河童小僧敗れる【SETUP EP.11】
・4試合目 INTERNATIONAL TAG TEAM MATCH Synny Z & “MCW Intercommenwelth Champion” Emman Azman 対 P’Suchart & Jonathan Johnson
4試合目はチームマッチ。プロレスは1対1だと思っていたのですが、ダブルスもあるんですね!驚きです!先ほどの河童のコスチュームもかなりの癖でしたが、こちらも中々。なんと P’Suchart さんがタイのバイクタクシーのベストを身につけ、バイクに乗って登場します。バイクタクシーはタイ生活の重要な交通手段の一つ。街でいつも見かけるドライバーそのもので、これはかなりテンションの上がる演出でした。日本で言うと郵便配達のバイクに乗って登場するような感じでしょうか。初めてのプロレス観戦なので日本の様子は分かりませんが、そのような演出もあるのか気になります。
登場の演出もインパクト抜群でしたが、試合はそれを優に上回る迫力。信じられないほどの勢いで体がぶつかり合ったり、リング上に叩きつけられたりしています。正直とても痛そうだなと思いながら見ていたら、レフェリーの顔も私と同じくらいしかめっ面になっていて少し和みました。演出の一部なのかもしれませんが、試合を見慣れている人がそんな表情になっているのを見ると妙な親近感が湧きますね。
試合中に気になったのは選手交代の方法。手をタッチして交代しているのが目に留まり、プロレスではそういうルールになっているのだと思ったのですが、良く見てみると必ずしもそうではない様子。どういうことなのでしょう。また、途中2対1で技を仕掛けている場面もあって、「それもアリなの!?」という気持ちに。プロレスは分からないことだらけです。
約15分に及ぶ激闘を制したのはEmmanさん。せっかくタイのバイクタクシー、通称winに乗って登場した P’Suchart さんですが、winnerにはなれませんでした。
勝者:Emman(14分59秒)
・5試合目 WRESTLE SQUARE HARDCORE CHAMPIONSHIP : Bital Hardin 対 Gabriel Martini 対 Big T 対 Paksa
こちらはインターナショナルマッチ。チャンピオンのPaksaさんに3人のチャレンジャーが挑むという内容になっています。登場演出で印象に残っているのはPksaさん。なんとピザを持って現れます。今回のチャレンジャーであるイタリア出身の Gabriel Martiniさんに対する挑発でしょうか。観客席にいた子どもに笑顔でピザをプレゼントするという心温まる場面もありました。
そしていざ試合開始。タッグマッチの存在に驚いていたらなんと今度は四つ巴。先ほどのタッグマッチの印象が強かったせいか、この試合も始まってからしばらくはタッグマッチだと勘違いしていました。4人が入り乱れて戦い始めたあたりで「誰と誰が味方?」と混乱していたのですが、これは四つ巴。リング内の自分とレフェリー以外の人間は皆倒すべき敵でした。先ほどのチームマッチとは違う、個人個人の気迫のぶつかり合いが繰り広げられます。
試合をしばらく見ていると、リング上にパイプ椅子が二つ持ち込まれました。パイプ椅子はGabriel Martiniさんを挟み込むように置かれ、なんとその上からダイブされ技をかけられるという状況に。パイプ椅子はその衝撃でひしゃげていて、なんとも痛ましい光景でした。
最終的にこの勝負を制したのはチャンピオンのPaksaさん。決着がついた後のマイクパフォーマンス時には、 Gabriel Martiniさんが背中にホッチキスでイタリア国旗を張り付けられる場面もありました。派手にリング上に叩きつけられている姿より、静かにホッチキス止めされている光景の方が痛々しく感じますね。
勝者:Paksa(11分20秒)
・6試合目 INTERNATIONAL JOSHI MATCH : Matcha 対 上福ゆき(東京女子プロレス)
今回の興行唯一の女子プロレスラー同士の対戦です。
まずは Matchaさんの登場。水色のコスチュームに身を包んで観客の前に現れました。続いて上福さんが登場すると、会場からは熱烈な「かみーゆ」コールが沸き起こります。上福さんがタイで興行に参加するのは今回が初めてですが、それが信じられない程の盛り上がりです。以前タイで上福さんのSNS投稿が話題になったそうで、今回の試合でもその注目度の高さが伺えました。
試合が始まると、先ほどまでの男性陣のプロレスとはまた違った雰囲気になります。勿論激しいのですが、挑発の仕方や技の決め方などが絵になる感じ。単に試合を見ているというより、プロレスという一つのショーを魅せられている、という印象でした。
女の意地をかけたこの勝負は上福さんの勝利。決着がついた後上福さんはリングの床に仰向けになる Matchaさんを見下ろしていて、この姿がまさに勝者、クイーンといった印象でした。勝利しても上福さんのテーマソングが流れないというハプニングもありましたが、無事にタイでの初勝利を飾ることが出来ました。
勝者 : 上福ゆき (9分43秒)
この試合の様子はこちらの記事からもご覧いただけます。
上福ゆき(東京女子プロレス)、タイSETUPでマッチャに勝利
また、試合後には独占インタビューを行いました。上福さんのプロレスや華やかなコスチュームに対する思い、今後の活動などについてしっかり語っていただいています。
上福ゆき(東京女子プロレス)独占インタビュー「タイの人に見つけてもらいたい、自分も何かを見つけたい」
・7試合目 AWGC Jr. HEAVYWEIGHT CHAMPIONSHIP 2 OUT OF 3 FALLS MATCH : ‘The Statement’ Andruew Tang vs Shivam (c)
いよいよこの日最後の試合です。 Andruew Tang さんとShivamさんの対決。
Andruew Tang さんが登場すると、「イィヤー!」と言いながら決めポーズを取ります。すると、続いて現れたShivamさんが挑発するかのように「イィヤー!」とAndruew Tang さんの決めポーズをモノマネ。
この試合では、とにかくフィールドを広く使っているのが印象的。リングを飛び出して客席にお互いの体を投げつけたり技をかけたりと、熱い闘いでした。客席にお互いの体を投げつける場面では、大会運営の方々が観客の皆さんに退避を促していてとても素敵だと感じました。プロレスラー同士の真剣勝負を間近で楽しめるのは、こういった方々のおかげだと思います。
本当に熱戦で、闘う彼らの汗しぶきがはっきり見えました。クーラーの良く効いた涼しい会場の中で汗だくになってぶつかり合う二人からは、熱量がとても良く伝わってきます。
20分にわたる長期戦を制したのは Andruew Tang さん。会場の観客と共に「イィ―ヤ!」と、お決まりのポーズを披露しました。
勝者 : Andruew Tang (20分27秒)
– FALL 1 : Shivam (3分35秒)
– FALL 2 : Andruew (13分01秒)
– FALL 3 : Andruew (20分27秒)
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試合の後、すべての出場選手とレフェリーがリング上に集合して挨拶をし、この日の興行は締めくくりとなりました。
≪感想≫
プロレスのことをほとんど知らない状態で行ったので、「こういう登場の仕方もありなの!?」、「こんな技もあるの!?」と驚くことばかりでした。特に楽しめたのは登場時のパフォーマンス。プロレスは試合中だけではなくて、登場時や決着がついた後のやり取りも含めて一つの試合なんですね。
登場パフォーマンスや演出も魅力的な試合をつくる重要な要素だと実感することが出来て、思い出深い初めてのプロレス観戦となりました。
[日程]
2023年1月28日(土)開場18時 試合開始18時半
[会場]
The Circus Sudio
[ウェブ]
https://www.facebook.com/setupth
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<記事作成 一部撮影:児玉瑞歩(タマサート大学ジャーナリズム&マスコミュニケーション学部) 実務研修>
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