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タイ・バンコクを訪問した岸田文雄首相は2022年5月2日、プラユット・ジャンオーチャー首相と日タイ首脳会談を行いました。
日本の外務省によると日タイ首脳会談は、少人数会合を含めて、午後4時10分から約2時間15分間行われました。少人数会合ではウクライナ情勢とミャンマー情勢について突っ込んだ意見交換が行われ、その後の全体会合では二国間関係と地域・国際情勢についての意見交換が行われました。
以下が、日・タイ共同記者発表の内容です。全文を日本の外務省のウェブサイトより転載します。
令和4年5月2日
プラユット首相とタイ国民の皆様方の温かい歓迎に心から感謝します。修好135周年という記念すべき年にバンコクを訪問でき、大変嬉しく思っております。
2016年5月に外務大臣としてタイを訪問した際に行ったスピーチで、ASEANの多様性を活かしつつ、一体性を強化し、その潜在力を開花させる重要性を私は指摘をいたしました。
今もその信念はいささかも揺らぎません。一体となったASEANは地域や世界にとって不可欠な存在です。国際秩序が大きく揺らぐ今、ここASEAN発祥の地で、再度その重要性を強調します。ASEAN議長国として「インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)」の策定を実現したプラユット首相とタイのリーダーシップに改めて敬意を表します。
本日は、プラユット首相との間で地域・国際情勢のほか、将来の日タイ関係の方向性について突っ込んだ議論を行いました。
まず二国間関係です。タイは、8万人を超える邦人が居住し、約6千の日本企業が進出する我が国にとって地域最大の拠点です。この強固な関係に基づき、3つの分野で協力を具体化して参ります。
第一に、安全保障と法務分野での協力基盤の整備です。本日、防衛装備品・技術移転協定が署名に至ったことは安全保障協力の拡大に向けた大きな一歩です。具体的な移転案件の協議を進めて参ります。また、刑事共助条約の締結に向けて、調整を加速化することでも一致しました。
第二に、経済関係の強化です。タイのサプライチェーン強靭化の一環として、生産拠点多元化への投資促進や、貿易の安全確保と円滑化に資する認定事業者制度の相互承認の早期の実施に向けて協力していきます。また、5Gのオープン化に取り組み、デジタル技術を活用して課題解決を目指す、日タイ企業による協業プロジェクトを進めて参ります。
さらにエネルギー安全保障の確保と脱炭素化の両立のため、「アジア・エネルギー・トランジション・イニシアティブ」に基づくロードマップ策定支援等を通じて、タイの現実的なエネルギー移行を支援いたします。「アジア・ゼロエミッション共同体構想」も紹介しました。また、経済安全保障についても連携していくことで一致いたしました。
第三に、新型コロナ対策です。今般、新型コロナ対策のための500億円の円借款による財政支援と、水際の検疫体制強化のための機材支援を決定いたしました。新型コロナを乗り越え、日タイ間の活発な往来や経済活動が再開されることを期待いたします。
次に、地域・国際情勢です。ウクライナ情勢について、タイがウクライナ決議を支持したことを高く評価いたします。プラユット首相とは、いかなる地域においても、主権・領土の一体性の侵害や、力による一方的な現状変更は認められないこと、また、大量破壊兵器による威嚇や使用への反対でも一致いたしました。さらに、タイ政府によるウクライナや周辺国への人道支援を高く評価し、この分野で連携していくことで一致いたしました。
タイとは、「自由で開かれたインド太平洋」に向けても連携していくことを確認し、南シナ海問題や、核・ミサイル問題、拉致問題を含む北朝鮮への対応について、緊密に連携していくことで一致をいたしました。また、ミャンマー情勢についても連携していくことで一致をいたしました。
さらに、本年タイで開催されるAPECの成功に向け、議長であるタイと緊密に連携していくことで一致をいたしました。また、国連安保理改革の重要性も確認をいたしました。核軍縮・不拡散の分野でも協力していくことで一致をいたしました。
来年は日ASEAN友好協力50周年です。日ASEAN特別首脳会議にプラユット首相をお迎えし、あらゆる分野で日タイ関係、日ASEAN関係を発展させていく決意です。
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