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契約に基づき取引を行う非出資型(non-equity modes、以下NEM)国際生産及び同形態での貿易は、増加しており、タイからの製品輸出だけでも1,060億ドルに達していると思われる。この新しい貿易形態での輸出は少なくとも1,500億ドルと見積もられ、タイからの総輸出の48%にあたるものと、国際機関日本アセアンセンターが発表したタイにおけるNEMに関する報告書(「NEM貿易 日ASEAN間の新たな貿易形態の促進:タイ」 [https://www.asean.or.jp/ja/trade-info/nem_papers/])で述べている。
タイの地場企業は、契約農業、下請け、管理契約、フランチャイズなど、多様な形態のNEMに関与しており、関与の形態は産業により異なる。
自動車産業は、下請け契約を主軸とするNEMにおいて、最も多くの輸出と雇用を産み出している産業の1つである。また、コンビニエンスストアは通常、フランチャイズやライセンス契約を通じて運営されている。
オフショアリングビジネスは、デザイン能力や情報技術能力、消費者の嗜好の多様性などを反映していくつかの産業で顕在化している。一例としてエンタティメント・コンテンツ産業が挙げられる。同産業の総売り上げは約63億ドルである。
多国籍企業(TNC)とNEMの関係を結ぶことにより、各産業は多くの恩恵を受けることができる。しかしながらNEMの性質上の問題や、タイの産業発展の経緯(例として大企業による支配)から、地場企業には課題も複数存在する。TNCは、特に供給されたサービスまたは商品の品質が一定の基準を満たさない時や、他の国からさらに競争力のあるプレーヤーが出現した場合、その契約を打ち切ることを厭わない。
政府は、地場企業がTNCによって引き起こされる適切な経済的相乗効果の恩恵を得られるよう、NEMを活用する能力の向上を支援することが望ましい。TNCは、絶え間ない競争にさらされるので、サプライヤーの品質と価格設定を継続的に改善することを強いられるからである。
TNCの現地パートナー企業に対するガバナンスはほとんど無いといってよい。そのため政府は、TNCとNEMの関係を結んでいる地場企業に対する外国企業の法令順守基準や助言に頼ることはできないのである。
政府は、NEMを活用する企業の輸出、技術革新、雇用の拡大、技術的な価値を高めることを可能にするべく、それら企業を保護する規制枠組みの強化と実施を検討すべきである。
正式名称:東南アジア諸国連合貿易投資観光促進センター
ASEAN10 カ国政府と日本政府により 1981 年に設立。 貿易・投資・観光・人物交流の 4 分野を中心に、ASEAN 商品の輸出促進、日系企業 の進出支援、人材育成、日 ASEAN 間の観光促進等を通して、日本と ASEAN 諸国との 関係促進に貢献する国際機関です。
URL:https://www.asean.or.jp/ja/
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