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体調を崩して訪れたバンコクの某私立病院。そこはバンコク病院やバムルンラード病院などのような、日本語の通じる高級病院でなく、ほぼタイ語しか通じないようなローカルな病院です。なぜローカルな病院を訪れたのかというと、その病院がタイの社会保険「プラカンサンコン(ประกันสังคม)」に加入し、病院登録していれば、日本人でも無料で診察、治療が行える病院だったからです。
その病院での診察中、先生が「HIV検査もしちゃいましょう!」と、ずいぶん気軽に、そして明るく提案をして来たのです!やっぱりタイはHIVに感染している人が非常に多いため、HIVが身近ということなのでしょうか?また今やHIVは早期に発見すれば「死の病ではない」ため、先生からすれば「気軽に検査しちゃいなさいよ、全然怖くないよ」ということなのでしょうか?
HIVとは後天性免疫不全症候群のこと。人によっては「エイズ」と言ったほうがわかりやすいかもしれませんが、HIV感染が進行するとエイズを発症するのです。エイズを発症すると、免疫が弱いため、色々な病気にかかりやすくなり、死に至る可能性が高くなります。
せっかくの先生からのHIV検査の提案。まさか断るわけにもいかないので、「じゃ、お願いします。」と、急遽HIV検査を行うことになりました。しかし今日の今日で、何の心の準備もなく、しかも人生初のHIV検査を受けることになるとは・・・。今までは「万が一感染していたら」と考えたら、不安と恐怖で検査をしようとする気が起きなかったのですから・・・。もうドキドキどころじゃありません。
これまで生きてきた中で、絶対にHIVに感染する様な行為をしてこなかったとは言えないため、感染している確率は決してゼロではないとは思ってはいました。なので、検査の結果が出る翌日まで、頭の中はHIVのことでいっぱい。感染していた場合のことばかり考えてしまい、ひたすらネットでHIVについて知らべ続けたのです。一生続ける投薬治療は月いくらかかる?タイならジェネリック医薬品で安い?副作用は?日本なら障害者手帳がもらえる?そもそも誰に相談しよう?親には言わないほうがいいか?・・・HIV情報のページや、HIV感染者のブログなどを読みまくりました。そこで行き着いた結論は、「思っていたよりHIVは怖くないかも」だったのです。
昔はHIVは恐怖のイメージしかありませんでした。30年ほど前、日本テレビ「大橋巨泉のこんなモノいらない!?」という番組の「エイズ」特集を見て、HIV=死というイメージを植え付けられました。実際昔はそれが事実だったのです。そして当時は感染を防ぐために、そんな恐怖のイメージを植え付けることも必要だったのかもしれません。
しかし今は違います。飛躍的な医療の進歩と研究者たちの努力により、HIVは死の病ではなくなりました。現在HIVは医学的には「慢性疾患」という位置づけと考えられていて、高血圧や糖尿病などと同じ様な分類なのだとか。HIVに感染しても、投薬治療を続けることでコントロールができ、これまでと何ら変わりない生活を送ることができるようになっているのです。美味しいものも食べられるし、お酒も飲める、運動もできるし、子供も作れる。適切な治療を行えば、健康な人と同じ様に長生きができ、楽しい日々が過ごせるのです。極端な言い方をするなら「感染していたって大丈夫」なんです。
しかし発見が遅れてHIV感染が進行すれば、エイズ発症となり、死に至る確率も高くなります。日本もタイも、エイズを発症してから感染していたことに気づく人が多いそうで(「いきなりエイズ」と言います)、そんな場合はやはり治療費用もかさみ、手遅れの場合も出てきます。なので一番怖いことは「自分が感染していると知らないこと」なんです。もし感染が発覚してもそれはラッキーなこと。手遅れになることなく、早期に手を打てるのですから。
ということで、少しでも心当たりがある方は、早目のHIV検査を。
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