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日本外務省の発表によると2018年10月8日の午後5時50分から40分間、安倍首相とタイのプラユット首相が3年ぶりとなる日・タイ首脳会談を行ないました。プラユット首相は、第10回日・メコン地域諸国首脳会議に出席するため訪日中。
会談では、タイでは2019年2月に下院総選挙の実施を検討していることや、タイのTPP参加について話し合いが行われ、さらに北朝鮮問題や南シナ海をはじめとする喫緊の課題についても意見交換がされました。なおプラユット首相は、南シナ海の情勢に関して、日本の方針を支持すると表明しています。
以下に外務省ウェブサイトに掲載された、日・タイ首脳会談の概要を転載します。
1 冒頭
(1)安倍総理大臣から,プラユット首相と3年ぶりに首脳会談を開催できて嬉しい,長きに亘る深い友情と幅広い交流に支えられた「戦略的パートナー」として日・タイ関係を一層促進させたい旨述べました。
(2)これに対し,プラユット首相から,再会をうれしく思う旨述べるとともに,最近,日本で頻発している自然災害に関し,被災地の早期復興を願うと共に,必要な支援があれば対応していきたい旨述べました。
そして両国の600年以上にわたる交流の歴史,昨年の日タイ修好130周年記念事業の成功,両国の「戦略的パートナー」関係を踏まえつつ,更なる協力を進めることを希望する旨発言がありました。
2 タイの政治情勢
プラユット首相から,来年2月から5月の間に下院総選挙を行うことを予定しており,可能であれば2月の実施を検討している旨述べました。これに対し,安倍総理大臣から,タイにおいて来年2月の総選挙に向け,民政復帰のプロセスが速やかに進むことを期待している旨発言しました。
3 メコン協力等
(1)安倍総理大臣から,タイが牽引するエーヤワディー・チャオプラヤー・メコン経済協力戦略会議(ACMECS)が地域協力の中心的役割を果たすことを期待している,日メコンとACMECSは親和性が高く,今後具体的協力につき議論を深めたい旨述べました。
(2)プラユット首相から,ACMECSの開発パートナーに日本を招待すると共に,ACMECSの下での様々な協力プロジェクトを財政面から支援するためのACMECS基金への日本の協力に関する期待が寄せられました。安倍総理大臣からは,開発パートナーになることを検討しつつ,ACMECSの活動が定着するよう後押ししていく旨述べました。
(3)また,安倍総理大臣から,日本は,来年のASEAN議長国タイに,一連の会議の成功のため,協力していく旨伝達しました。
4 二国間関係
(1)プラユット首相から,タイは20年間の国家戦略を策定し,現在,東部経済回廊(EEC)開発や産業人材育成を通じた産業高度化に係る経済の構造改革を進めている旨の説明と共に,タイ経済に関する長年の日本の継続的な支援に感謝する旨述べつつ,タイにおける日本の高専の早期設置等を通じた日本の産業人材育成支援に関する評価と期待が寄せられました。
安倍総理大臣から,日本は,東部経済回廊(EEC)開発と産業人材育成がタイの産業高度化の実現の鍵と考えており,日本として積極的に協力していく旨述べました。更に安倍総理大臣から,EEC開発では,日本の技術等を活用し,スマートシティ等の分野で協力したい,また,産業人材育成のため,タイ高専の早期の設立,コネクテッド・インダストリーズの展開に必要な技術者育成に向けた具体的な協力を加速させていきたい旨述べました。
(2)両首脳は,保護主義の懸念が高まる中,RCEPの早期妥結に向け協力することで一致しました。更にプラユット首相から,タイのTPPの参加の関心表明を行うと共に,その実現に向けて日本の協力を要請し,また,安倍総理大臣から,タイのTPP11別ウィンドウで開く参加関心の表明を歓迎すると共に,日本として情報提供等の支援を行っていく旨述べました。
5 地域情勢
(1)両首脳は,ラカイン州及び避難民の状況改善のためには,ミャンマー・バングラデシュ両国政府の具体的な取組を後押しすることが重要であり,ラカイン州の平和と発展のため,タイを含むASEAN各国と引き続き連携していくことで一致しました。
(2)また,両首脳は北朝鮮問題や南シナ海をはじめとする喫緊の課題についても率直且つ有意義な意見交換を行い,更に連携していくことで一致しました。特に北朝鮮情勢については,朝鮮半島の非核化に向け,安保理決議の完全な履行が必要との立場が共有されました。また,安倍総理大臣から拉致問題の早期解決に向けた協力を働きかけました。南シナ海の情勢に関しては,日本の方針に対するプラユット首相からの支持が表明されました。
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