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バンコク・セントラルワールドで2019年1月25日から27日まで開催された、アジア最大級のオールジャパンイベント『ジャパンエキスポタイランド2019(JAPAN EXPO THAILAND 2019)』。今回も数多くのゲストたちが日本から招聘されました。アーティストのmisonoさんも3夜連続でステージに上がり、アニソンや洋楽曲でタイの人たちと在住日本人を魅了しました。
イベント最終日の27日午後、コスプレ・パレードに参加した後にお話しを伺いました。
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--タイにお見えになったのは何回目ですか?
「これで4回目です。day after tomorrow時代に写真とMV撮影のために1回、スマトラ沖地震の復興支援ライブに1回、そこから少し間を置いて昨年9月に『バンコク日本博2018』に参加しました。昨年のイベントも今回も、ある友人を通してきっかけを頂いて本当に感謝です」
実はmisonoさん、所属していた芸能事務所を昨年円満退社。今回、マネージャー無しで一人で何もかもこなしていました。
「日本では友人がイベントの主催者の方々とやり取りしてくれたのですが、現地では自分だけ。去年あたりから海外でのお仕事が増えていて、英語はだんだんと聞き取れるようになりました。でも今回はタイ。スタッフさんたちとのコミュニケーションでまず苦労しましたね。タイ語は難しいです!」
--タイでのライブはいかがですか?
「タイに限りませんが、海外でのライブはストレスなく、自然な笑顔で歌う事が出来ますね。お騒がせタレント云々をみんな知りませんから。色眼鏡なしで歌を聴いてくれる。反対に、観覧無料ですから、いかに歌声で足を止めて貰うか、人を集めるかが勝負。結果、悲しくなったりする事もあります。ただ、毎回どの国でもどんな日でも1日の最後、寝る前にやって良かったと思えるんです」
--昨日(26日)、嬉しい事があったそうですね?
「はい!自分のステージの前がアイドルグループさんで、そのファンの方々が残ってくれて、即興で掛け声やフリをしてくれたんです。今回、本当はタイ語で歌えば喜ばれるだろうと考えて、AKB48さんのカバー曲も練習していたのですが完成させる事が出来ませんでした…。でも、言葉の壁は勿論ありますが、音楽と気持ちで一つになれるんだと信じています。こちらが笑ったら相手も笑顔になってくれる。悲しい顔をすれば悲しい顔になると」
--先ほど参加されたコスプレ・パレードなど、ライブ以外にも今回は様々な活動をされていますね?
「そうなんです!ファッションショーに出させて頂いたり、コスプレパレードの先頭に立たせて頂いたり。当初はライブだけの筈だったんですが、最近、自分がコスプレをやっていて、初音ミク姿がヤフーのニュースなどでも報道されている事をこのイベントの関係者の方が知ってオファーを貰ったんです」
--タイのコスプレイヤーたちはどうですか?
「レベル高いですね。自分はまだまだという気持ちになりました。実はこういった実際のコスプレのイベントに参加するのはアメリカに次いでまだ2回目なんですよ。日本でそういったイベントに参加すると、色々と迷惑をかけるかと思って行ってないんです。昨年にライブをした『ジャパンエキスポ・イン・マレーシア2018』もそうでしたが、日本のアニメやゲームが本当に愛されているのを感じますね」
--最近は物真似もされていますね?
「はい。でも、今回、青木隆治さんも出演されていますが、プロは別格だなあとつくづく思います」
それ以外にも、YouTubeの動画撮影をイベントの間にしたりとmisonoさんは超多忙なスケジュールをこなしていました。
「連日朝7時起きです。前回(昨年9月)のバンコクは超弾丸スケジュールで、タイから帰ってそのまま北海道に飛ぶという感じ。でも今回は前日入りで、翌日帰りなので余裕があるかと思ったら、空き時間が全然なくなってしまって…」
--こういった様々なチャレンジを続けるのは何故なんでしょうか?
「みんなに喜んで欲しいからですね。歌いたいから歌うのではなく、求められているから歌っているんです。だから、“要らないよ”と言われたら辞める。求められいるのは、もしかしたら歌じゃないかもしれない。例えば、コスプレで喜んで貰えるなら、それに全力投球します」
こういった努力をしているにも関わらず、バッシングを受ける事もあると言います。アニメの『犬夜叉』のテーマ曲を歌っていた関係で、その主人公のコスプレをして話題になった時も“コスプレをなめるな!”という心無い声もあったとか…。
「でも、そういうコスプレに携わる人たちの強い思いを聞けて良かったと思っています。毎日、ツイッターでmisonoを検索しているんですよ。ネガティブな物も含めて、それを受け止めたいと思っているんです。17歳でデビューして今34歳。これだけ芸能界に長くいると、あまり怒られなくなってきます。だから世間の声にはちゃんと耳を傾けようと思っているんです、調子に乗ったり勘違いしてしまいますから。きちんと受け止めた上で、一歩づつ前に進みたいと思っています」
--タイで叶えたい夢があるそうですね?
「はい!今、日本で小学校や孤児院を回ってアニソンなどを歌っているんです。未来を作る子供たちに向けて発信したいと思って。そこにいるのはday after tomorrowも『ロンドンハーツ』や『ヘキサゴン』も知らない子たち。彼らが純粋な目をして自分の歌を楽しんでくれているんです。逆にエネルギーを貰いますよね。ここタイでも同じ活動を是非してみたいんです。去年は弾丸で、今回も結果的に過密スケジュールで機会がありませんでしたが、次回は是非実現させたいです。その時は密着取材をしてくださいね!」
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インタビューの数時間後、
「いつもお仕事に家事に勉強に頑張ってみる皆さん、今日くらいは一度肩の力を抜いてみてください。明日のために」
と、語って歌い始めたライブの最後の曲は『トゥモロー(ミュージカルの『アニー』)』。
“明日になれば太陽が昇る。だから頑張って、明日まで!大好きな明日!それはあなたを待っているの!”
今回のインタビューで、すごく真面目な人だという印象をmisonoさんから受けました。1人の人間として精一杯に生き、人に喜んで貰う事に懸命。今の状況に甘んじず、批判の声にも耳を傾け、自分に何が出来るのかを真剣に考えている…。
『トゥモロー』の歌詞は、正に明日のために努力と我慢を続けるmisonoさんの姿その物のようです。そして、その歌は私たちを明日へ、またその先のday after tomorrowへ運んでくれる力をくれました。
文責 カバー写真撮影:梅本昌男
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