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シーサケットFC、最終節を迎えるにあたり昇格圏外の4位。チーム規定違反の関係にて-12ポイントを課せられているにも関わらず、この成績は立派なんだけど、これは言い訳に出来ない。3位以内に入るとタイリーグ1部へ昇格、2位と3位のチームが対戦するので、シーサケットFCは勝てば“昇格”を勝ち獲れる、分かりやすい図式。
俺と一緒に海を渡った…いや、俺の袖を引っ張ってくれた可愛い後輩“片野寛理(KATA)”も俺がタイ挑戦をした、そして引退をした37歳となっている。俺も当時1部昇格を目標に掲げたRajpracha Thailand FCに加入、俺が夢見て挑戦そして叶わなかった“昇格”というモノを同じ歳で掴み取ろうとしている。「不器用な後輩の生き様」を目に焼き付けるため、そりゃあ当然スタジアムへ行くでしょ。
完全にスタジアムをジャックしたシーサケットFCのサポーター。「チケット完売」の報も完全に乗っ取られるのを恐れたタイホンダ側の苦肉の策に思えた。
更に会場へ足を運べなかった地元のシーサケットFCサポーターは、巨大仮説スクリーンによるパブリックビューイングを敢行。地元から遠く離れた決戦の地へ沢山のエールを送り続けた。
試合が始まると目隠し的にゴール裏の金網に張り巡らされていたスポンサーバナーが、1枚また1枚と剥がされていく。すると会場入りできなかったオレンジ軍団が出現、結果的にはスタジアム内外をジャック…地割れするのではというほどの怒号が、チームの昇格を信じて木霊した。
彼らも含め、誰一人としてバッドエンディングは考えていなかったのではないだろうか。前半から堅守速攻のタイホンダのサッカーが嵌っている様に感じた。何故かクルクルって体が入替っちゃう場面が多くてね…試合後KATAに「みんな滑ってたね」と聞くと「表面だけ粘土質なんだけど、だけど硬いグランドに慣れておらず、スパイク選びから苦労したんだよね」と。こんなところにもアウェーを感じるんだなと改めてサッカーの奥深さを実感した。
“悪夢”は後半早々に起こった。そしてその“悪夢”は3度起こり…大袈裟な表現では無く、会場は涙に包まれたまま試合終了の時を迎えた。なかなか起き上がれないKATA…彼を観て、サッカーの神様が簡単には辞めさせねぇぞと言っている様に感じたね。
俺自身は舞台は違えど昇格を掲げた、そして義務付けられたチームで長くプレーしていた。そのことが選手としてのモチベーションとなっていたと思うんだよね。だから「(チームに)残るべきじゃねぇ!?」なんて安易に伝えちゃったんだけど、彼もキャリアの晩年であることは充分承知していて、だからこそ「(もう一度)トップリーグでやりたい」という気持ちが強いみたいなんだよね。
「さぁ、(酒を)呑むぞ~」なんて明るく振舞ってたけど、時間が経てば経つほど「畜生」という感情がこみ上げてくるんだよね。取りあえずゆっくり休んで…シーサケットに残るとしても、他チームで新たな挑戦をするにしても応援しているぜっ!!俺が果たせなかったもう一つの夢、「息子が父ちゃんはサッカー選手だった」と記憶に残るまで活躍しつづけることを実現させるためになっ。
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