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2005年に行われた岡山国体にて、俺は東京代表として桃太郎スタジアムのピッチに立った。旧カンコースタジアム、現シティライトスタジアムの歴史を知らない俺は、このスタジアムは桃太郎スタジアムのまま…30代で”Jリーガー”を目指した原点にこういう形で帰って来れたことに誇りを感じた。
選手紹介は当時の写真を使用して一人づつ行われた。地域リーグの時からこの大型スクリーンを使い選手紹介が行われていた訳で、サポーターの応援やスタジアム環境も含め、行く先々の選手達から「この雰囲気(環境)はJ1レベルだね」と言われた。実際俺もいち早くJ1での臙脂色のFagi軍団の戦いを観たいと願う。
俺は結構左右に展開するプレーが好きなんだけど、グランドに入って改めて「広いな」と感じたね。右膝に爆弾を抱えているから「無理してもちょっと(逆サイドまで)届かないな」と思いロングキックを封印、その代り場面場面で100%でプレーし熱さをピッチ上で表現しようと決意した。
球際へは激しく、そして声を出し続け…スピードの衰えはポジションニングでカバー。ふとした瞬間に足元を見て驚いた。何とスパイクが破けている。でもここでベンチに向かって「スパイクが…」なんてやったら多分交替させられるだろうと隠すことを決意。「何とか持ってくれ」と大げさでは無く”神に縋る思い”でプレーを続けた。
お互いに真剣勝負の場で、選手間でチームを支え続けてくれているFagiサポコールリーダーへサプライズプレゼントを用意しようという事になっていた。企画者は”主審にも話は通してある”とのことだったので、前半終了間際にドリブルをしている選手をペナルティエリアに進出させファールを敢行、PKを献上した。この試合でボールボーイに扮していたコールリーダーの元へ駆け寄り”PKを蹴って下さい”と演出、コールリーダーはPKを落ち着いて決め両軍入り乱れて胴上げをして終了のホイッスルが鳴った。
そんなやり取りの際に俺にもサプライズプレゼントが…主審に呼ばれまさかのイエローカード。思わず「俺、タイから来てんだぞっ」と訳の分からぬ抗議及ばず。
岡山に来て”Jリーガー”の夢を持ち、岡山を離れる時に”桃スタに戻って来る”決意をした。だからインタビューを受け、その思いを口にした時に涙が溢れそうになった。クラブの歴史に少しは貢献出来たかもしれないけど、クラブはその先に向かって育ち続けなければいけない。だから「J1への後押しをお願いします」と伝えられて、個人的に位置付けていた岡山での引退セレモニーに幕を下ろせたような気がする。
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