2015年7月3日掲載
W杯女子カナダ大会、なでしこJapanが2大会連続の決勝進出を果たした…が、準決勝イングランド戦での熱戦の結末はなんとオウンゴール。俺はCBとしてプレーする事が多かったから、物凄く気持ちが判り正直泣けて来てしまった。試合後のイングランド監督のオウンゴールを犯した選手へのコメントは「勇敢で強くて絶対的な英雄だった」という素晴らしいもの。俺は敗北や失敗等を受入れて涙する選手に対して”声掛けをしなければ…次を向かせなければっ”と行動に出るのだけれど、涙腺激緩の俺はいつも一緒になって泣いてしまい何も言葉を発せない。指導者として選手の気持ちに感情移入してしまうタブーを改善しなければいけないとは感じているのであるが…。
度々”夢追人コラム”に書かせて貰っているBangkok在住の日本人選手達によるフットサルの祭典”Girasole Cup”が先日日曜日(6月28日)に行われた。俺は常日頃から「タイの強豪チームの仲間入りをし、これらのチームを超えていく」ことを目標としている事を公言しているのだけれど、日本人選手達にとってはこの大会で結果を残すことがそのまま選手としての自信に繋がることを痛感している。だから「この大会を目指している訳では無い」と選手達には発破をかけているのだけれど、(優勝を)狙っている大会の一つであることは間違いない。
中学部が新設されたのが3大会前から。過去3大会とも準優勝に終わっていることもあり、U-15 Creer fcの黄金期を支えて来た中学3年生の選手達が揃う最後の大会として何としても有終の美を飾らせてあげたかったのが本音。今までは全てのカテゴリーを一人で指揮し、尚且つ大人クラスにてプレーもしていたのであるが、今回から同僚コーチにU-10の指揮を任せたことと大人クラスをエントリーしなかったことでU-12とU-15の監督に専念出来たことは大きかった。まぁ試合の方が時間通りに進行せずにグランドを跨いでU-12とU-15を同時に指揮した試合もあったのではあるが…。
結果からいうとU-15は全勝優勝、何より選手達が自立した俺なりの指導目標を実践してくれた完璧な内容での優勝が本当に嬉しかったね。決勝では開始直ぐに失点をするも慌てることなく相手の戦術を試合の中で分析し、相手の良さを消すことに成功。あとは”ボールへ、ゴールへ仕掛ける”Creer fcのサッカーを表現するだけで自ずと結果は明らかだったかな。
U-12の方は3位へと飛躍、前回大会予選敗退の屈辱を味わったチームは確実に歩みを進めている事を証明したのではないだろうか。しかし今回獲得した銅メダルを銀色に…そして金色に染め変えるチャンスを半年後の次回大会と定め、しっかりと準備をしていければと思うね。
まだまだCreer fcはBangkok内でも歴史の浅い小さなクラブかもしれない。しかし今回のU-15の優勝・U-12の3位入賞という成績一つひとつがクラブの歴史となる。選手達には自分達の結果がそのままクラブ史を刻むということを自覚してもらい、これからも熱くプレーすることを望む。とはいえ確実に今大会で成長を証明したと共に、常日頃応援してくれている親御さん達に感動を与える戦いを演じたことが何よりの収穫。彼らは異国の地Bangkokで着実に逞しく成長しているのではないかな。素直に「指導者になって良かったな」と感じられた一日となったかな。
伊藤琢矢(いとたく)
アマチュアに拘りプレーを続けた20代。33歳でのプロ契約を期にJリーガーを目指す事に。大宮・岡山・北九州とJリーグ昇格に携わり、自身は36歳でJのピッチに立った。2011年よりタイに活躍の場を移した「夢追人」。
いとたくブログ『夢追人』
Regista in Thailand