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第230回 タイでサッカーを通じて巡り会えた仲間へ-いとたくにとっての1期生の卒団式-

2015年3月25日 配信

2015年3月25日掲載

「夢追い人」のタイサッカー珍道中

中学2年生、彼らを本格的に指導し始めて丸2年。日本での受験準備に備えて帰国をする選手が多いという事を昨年12月に知った。実際3月終了時点で帰国をする選手は半数に登る。だから今タームが”みんなでプレーする最後のシーズン”と位置付け、「必ずU-14 Creer Cupを制して、笑って解散しようぜっ」と誓い合った。
1月にあまり練習でやらせて来なかった走り込みを課し、2月にグループ戦術を進化させる取組みを行った。選手個々人の急成長を感じた俺はタフである戦いの場である”U-14 Creer Cup”にて「みんなに一定の時間プレーをさせたいし、2チームとも予選を勝ち抜けるのでは…」とチームを2つに分けた決断が結果的にチーム層を薄くしてしまったという…完全に俺の判断ミスにより選手達は優勝を掴み取ることが出来なかった。
こんな駄目コーチな俺に歯を喰いしばって付いてきてくれた選手達、しっかりとした形で”卒業式”をしてあげたい…そんな思いからお父さんお母さんに協力を仰ぎ、”Creer fc 卒団式”を執り行った。しかし式当日アクシデントに見舞われる…中学生全員が参加したサッカーキャンプのスケジュールが押しに押して会場入りするのに大大大大大遅刻。先にレストランで飲食いしながら中学時に在籍した現在日本に居る選手達からのメッセージをサプライズ的に流そうと思っていたんだけど、それにすら間に合わず。グランドでの卒団試合の開始時間にやっとこさ現われたという大失態であった。

「夢追い人」のタイサッカー珍道中

ここで用意させて貰ったのが、”お父さんvsU-14″のスペシャルマッチ。お父さん達には”選手達の成長”を直に感じて欲しい、そして選手達には”まだまだお前たちには負けねぇ”というお父さん方の本気の意地に触れて欲しかった。意地と意地のぶつかり合いはスコア以上に白熱した気持ちの入った好ゲームとなった。

「夢追い人」のタイサッカー珍道中

「夢追い人」のタイサッカー珍道中

その興奮冷めやらぬまま、試合終了後にグランド上でセレモニーを行った。まずは試合を受けて、そして6年間タイで選手達を見守り続けたお父さんにスピーチをして貰った。選手達へのメッセージになるのかなと思っていたんだけど…「私達はタイを去る運命にある。サッカーを始めた動機はそれぞれだけれど本気で(サッカーに)取組む環境を与えてくれ成長を促してくれた伊藤コーチに感謝している」という言葉、今までの自分の指導に対する最高の評価を頂けたように思えた。
そしてタイを去る5選手へのメダルの授与。笑って誤魔化してしまったが、選手達の目を見ながらメダルを掛けて握手をして…一言言葉を交わしたら泣いてしまいそうで、「有難う」という言葉もまともに掛けられなかった。ほんと俺、駄目コーチだよなぁ。

「夢追い人」のタイサッカー珍道中

5選手それぞれに歴史があり思い入れがある。卒団式で言えなかったメッセージをこのコラムを通じて次回から発信させて貰おうと思っている。最後にこのチームに関わった全ての人達…U-14 Creer Familyで円を組み、1人1人と握手を交わし全体写真を撮った。この写真、そしてこのメンバー全員が俺にとって宝です。このU-14のチームをベース…目標として下の世代の選手達を育てて行きたいし、これを超えるチームをここバンコクで作り続けることが俺の使命なのかな。そんな事を感じられた”卒団式”となりました。

「夢追い人」のタイサッカー珍道中

「卒業、おめでとう!!」


伊藤琢矢(いとたく)

アマチュアに拘りプレーを続けた20代。33歳でのプロ契約を期にJリーガーを目指す事に。大宮・岡山・北九州とJリーグ昇格に携わり、自身は36歳でJのピッチに立った。2011年よりタイに活躍の場を移した「夢追人」。
いとたくブログ『夢追人』
Regista in Thailand

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