2014年6月7日掲載
世間がW杯に向けたムードになっている時に、あえて先頃レアルマドリッドの優勝で幕を閉じたCL決勝の話をしようと思う。元々サイドバックからサッカー選手のキャリアをスタートさせた俺、「好きな選手はロベルト・カルロスです」なんて言っていたけど、実はボランチでプレーしていたマケレレの方が好きだった。選手晩年はセンターバックをやっていたから「ジェラール・ピケが好きです」といっていたが、実はプジョルの方が断然好きだったという。要は戦える選手が…気持ちが伝わってくるプレーをする選手が好きだったんだよね。ダービッツしかり、ガッテゥーゾしかり。
アトレティコ・マドリッドを18年ぶりに今季リーガ優勝に導いた監督のシメオネ、彼の現役時代も好きだったね。華麗な印象のあるアルゼンチンの選手達に混じり、ひたすら激しいチャージでボールを追い回す。「おぉ、こんな選手もいるんだ」と衝撃を受けながら試合を見てたっけ。
そんな彼が監督としてチームをCLの決勝へと導いたのである。このチームはどのようなサッカーをするのであろうか…大いに興味を持ってテレビに齧り付いてしまった。俺が指導する選手達には「オフェンス時には広く、相手ボールになったら直ぐに中を絞める」と指導しているのだけれど、アトレティコがディフェンスに回った時はとにかく選手間が狭ぇ…そしてスライドが早いんだよね。「こりゃあ凄ぇ徹底されてるわぁ」と関心しながら観ていたら、あっという間にロスタイムに突入していまった。
あとちょっとで逃げ切れる…誰もが思っていた矢先に悲劇は起こった、セルヒオ・ラモスの意地の一発により同点。運動量が相当要求されるであろうアトレティコのサッカー、彼らは120分間戦うための力が残されていなかったということか、最終的には1-4の大差がついてしまった。でもここからも彼は存在感を示したというか…熱い男であったね。アトレティコサポーターが陣取る観客席にレアルの選手がボールを蹴りこんだと大激怒。試合中にも関わらずピッチに入って来て「おらおら~っ」とやり始め、相手選手に詰め寄っていた。こんな熱さに選手もサポーターも付いて行きたくなんだろうねぇ。少なくとも俺が選手だったなら「監督~っ♪」となったと思うんだよね。
決勝のタイムアップの笛が鳴り、退席処分を受けたシメオネ監督が再度ピッチ上に現れた。相手を称え、そして応援してくれたサポーターへの感謝の意を表していたのか手を何度と無く叩いて客席に手を振っていた。最後は選手&スタッフが円陣を組んでいた。悔しさ滲む敗戦の場を”次への団結の場”に変えてしまうとは…見事だよね。観ていて正直鳥肌がたったし、今指導しているバンコクの選手達にとってこんな監督(指導者)でいたいと思わされたね。バイエルンのグアルディオラ監督やドルトムントのクロップ監督と共に、今後も注目してコピー…じゃなくて、リスペクトして振舞いや戦術等を真似ていければと思うね。まぁ当然”いとたく”のスパイスは加えさせていくんだけどね。
伊藤琢矢(いとたく)
アマチュアに拘りプレーを続けた20代。33歳でのプロ契約を期にJリーガーを目指す事に。大宮・岡山・北九州とJリーグ昇格に携わり、自身は36歳でJのピッチに立った。2011年よりタイに活躍の場を移した「夢追人」。
いとたくブログ『夢追人』
Regista in Thailand