2014年5月31日掲載
小学校低学年に対してはとにかくサッカーが好きになってもらいたいということで遊び的な要素を多く、また試合を多くすることで”勝つ喜び”…そして”得点入れる喜び”を知ってもらおうと工夫している。失敗したって「練習の場なんだから、始めから上手い奴なんていないんだから…」と兎に角チャレンジさせるように仕向けている。
INFINITOでのレッスン中の出来事。ドリブルの要素を加えたリレーをさせたところ”上手く出来ない”ことを理由に勝負を諦めた選手がいた。「あ~ぁ、今お前(勝負を)諦めただろ…すげぇ格好悪いな」と嫌味をいってやった。「一生懸命やることが物凄ぇ格好良いことが何で分からんのかねぇ」とボソッと追い討ちをかける一言を添えてね。
普段はその選手物凄い可愛いんだよ、妹想いの優しいお兄ちゃんだし「いとたくコーチ、今日ねぇ…」と学校での出来事も教えてくれたりする。そこまで運動神経が良いとは思わないんだけど、一生懸命INFINITOに通ってくれているし、サッカーに対して熱心な選手なんだよね。そしたらね、その選手が豹変した。
先ほど勝負を諦めてしまった同じリレー形式のメニューの2セット目、やはりあまり上手く出来ずにコケてしまったのだけれど…眉間に傷を作りながらも彼は前を行く選手を追い掛け始めた。小学2年生の彼、その場で泣き出してしまってもおかしくないような傷だったんだけど…「負けたくねぇ」と思ったんだろうね。普段とは違った一面が見れたというか、ちょっとこの選手を見直したね。
更にこの選手は練習最後の試合時にとんでもないプレーを披露した。コーチが守るゴールへ目掛けて走り出し、見方の縦パスに反応した彼は「2002年W杯ベルギー戦の鈴木隆之選手」のように懸命にボールを追い掛け、GKの目前にて爪先でボールに触れ決勝点を叩き出した。「おぉ凄ぇ…」この選手はここまで熱いプレーが出来るんだぁ…と関心させられた。普段やさしい彼が、ゴール後に雄叫びを上げていたからね。
そこまでイケ面な選手では無いのだけれど…この選手が物凄く格好良く映ったね。ボールに喰らいつくことが…一生懸命やることがこれ程格好良く感じるんだぁと、改めて実感させられた。一生懸命やることが格好悪く見られがちな現代、だからこそ俺は”歯を喰いしばってボールに喰らいついて行く”ことが物凄く格好良いことを今後も継続して指導していけたらと思う。熱く…熱苦しくね。
伊藤琢矢(いとたく)
アマチュアに拘りプレーを続けた20代。33歳でのプロ契約を期にJリーガーを目指す事に。大宮・岡山・北九州とJリーグ昇格に携わり、自身は36歳でJのピッチに立った。2011年よりタイに活躍の場を移した「夢追人」。
いとたくブログ『夢追人』
Regista in Thailand