2014年5月15日掲載
2010年、いとたくがGiravanz北九州に所属していた夏、1本の電話が俺の親父の元に届いた…「もしもし、俺だけど…」。
俺は親父を尊敬している。彼は仕事で海外勤務が多く、現在の俺のタイライフに対して適格なアドバイスを貰っている。新婚旅行で訪れたニューヨークで親父が勤務した会社のビルを見つけた時は「おぉっ」と感動したものだ。ちなみに俺には2人の姉がいる。英恵と千恵…英国に駐在していた時に生まれた長女は英国の文字を取り”英恵”、次女は千の恵(めぐみ)と語っているが少なからず千葉で生まれたから”千恵”となったんではないかと俺は勘ぐっている。だから、もし俺が女として生まれていたら、埼玉で出生したから”玉恵”だったに違いない。
電話口の俺は「取引先とトラブって会社の金を使ってしまった」という。「警察沙汰になる前にお金を返済したいのだけれど…会社の上司が上手く庇ってくれているがバレてしまうのは時間の問題。直ぐに金が必要なんだ」と訴えた。
親父は直ぐに「オレオレ詐欺」と気付いたようだ…しかし噂には聞いていた電話が実際に自分にかかってきたことに感動し、少し泳がせる事にしたそうだ。電話口の俺から”具体的に直ぐに必要な金額”、そして”上司から後ほど電話連絡がいく旨”を聞きだしてからこう返事したという。
「話は分かった。しかし…プロサッカー選手に上司と取引先が存在するのは驚いたなぁ」。
”ガチャ”、電話口の俺は直ぐに電話を切ってしまったそうだ。当然である、面倒臭い奴に電話してしまったと電話口の俺は思ったに違いない。
普段あまり電話をしてこない親父から「おぅ、俺だ」と連絡をもらった。「お前から”取引先とトラブったから金を振り込め”と電話貰ったぞ」と…正直俺は”???”状態になったけどね。俺も数十年後には息子から「俺だけど…」と連絡を受けるのだろうか。その時は親父のような態度で対応したいんだけど…請求はBaht支払いになるのかな!? と、要らぬ心配をしている”いとたく”なのであった。
伊藤琢矢(いとたく)
アマチュアに拘りプレーを続けた20代。33歳でのプロ契約を期にJリーガーを目指す事に。大宮・岡山・北九州とJリーグ昇格に携わり、自身は36歳でJのピッチに立った。2011年よりタイに活躍の場を移した「夢追人」。
いとたくブログ『夢追人』
Regista in Thailand