2014年3月14日掲載
Hip HopやBasketballが好きだった俺、握手というよりはShake Handは黒人文化的で憧れてはいたけど現実的にやるものでは無いと思っていた。この概念が覆されたのがFagiano岡山へ移籍した頃である。俺が加入した時はJを目指していたといっても地域リーグに所属していた頃で、俺や外国人選手以外は全員他の仕事を持つアマチュア選手であった。土のグランドでナイター練習をしていたのだけれど、練習開始時間には全員が仕事の関係で間に合わない。ましてや来れない(残業等で練習に参加出来ない)選手も少なからずいた。そこで各選手グランドへと到着すると真っ先に監督の元へ行き握手をして”よろしくお願いします”的な挨拶を交わしていた。俺はこの行為が凄く重要に感じていたんだよね…しっかり監督の手を握り、そして監督の目を見る事で自分の持つ熱さを毎回伝えなければと思って行動に移していた。
バンコクで指導するにあたり、練習時交通渋滞等で選手達を乗せた送迎バスが到着する時間はまちまちである。だから全員が揃って練習を終える時にコーチに対して”有難うございました”との礼儀として握手をしてから解散する方法を導入した。その時には俺の目を選手達が見るまでギュ~ッと手を握ったまま離さない、当然だよね。そして練習時に各個人へのアドバイスが必要と感じた時や、「今日は良かったぞ」と褒めてやりたいと思った時、この握手タイムを利用して選手達へ伝えている。更に自分の名前を云わせるようにしているんだけど、これは指導を始めた当時揃いの練習着で名前が分からず、ましてや大人数の名前を憶えなければいけなかったので、選手達の名前を憶えるためにと言わせていた流れである。
選手時代もそう、指導者として対戦する選手達と試合前や試合後に握手をするのだけれど、まともに人の顔を…目を見て握手をする選手はほんの一握りなんだよね。タイ人のみならず日本人もそう、全く気持ちが伝わって来ない。俺の手を握りつぶす気持ちで…俺の顔を睨んでくる表情で来てくれるとその選手の熱さを感じられて嬉しいのだけれど…。
元チームメイトや対戦相手だった選手がタイへ挑戦をしに来て、俺に会いに来てくれる…そんな機会が多くなってきた昨今。再会は本当に凄く嬉しいこと、更に近況を聞くことで俺自身凄く刺激になる。久しぶりに会った時にまず必ず行うのが固い握手、それだけで言葉を交わさなくても充分伝わってくる。俺はこのコミュニケーションツールである握手を熱さを伝える手段として今後も活用していこうと思う。これから”いとたく”と面会される方…ギュ~ッと行かせて貰うんで、覚悟しといてくださいなっ!!
伊藤琢矢(いとたく)
アマチュアに拘りプレーを続けた20代。33歳でのプロ契約を期にJリーガーを目指す事に。大宮・岡山・北九州とJリーグ昇格に携わり、自身は36歳でJのピッチに立った。2011年よりタイに活躍の場を移した「夢追人」。
いとたくブログ『夢追人』
Regista in Thailand