2013年12月21日掲載
“選手達に責任感を植え付ける”、そんな発想からゲームキャプテン制度を設けることにした。チームキャプテンは現在あえて指定をしていない。問題が起こった時や選手間ミーティングで発言する選手や仕切る選手がその都度違って欲しいという願いを込めて。
ゲームキャプテンには、指名したその日は全てチームを仕切らせる。キックオフに向けて気持ちを高めるミーティングをしても良いであろう。実際U-8のチームは試合前に自分達で「点を決めれなかった選手、無失点で乗り越えられなかったGKは体幹の罰ゲーム」とハードルを設定しているようだ。このゲームキャプテンは、その週の練習態度等を見て「こいつはどのようにチームを引っ張るのか!?」と興味を覚えた選手を優先的に選ぼうと考えていた。
試合にはキャプテンマークを巻いて臨んでもらい、自分はキャプテンなんだという自覚を促そうという考えに至った。そこでスクールのタイ人スタッフに「タイには子供用のキャプテンマークはあるのか!?」尋ねてみた。「ある!!」即答をしてきたので、「ネット等でどんなのがあるのか調べて欲しい」と依頼した。
ある朝、携帯のLINEにタイ人スタッフからキャプテンマークの写メが沢山送られてきた。こんなにあるのか…という位。聞くところによると、もぅナショナルスタジアムというサッカー用品を扱うお店が多く立ち並ぶ地域に買いに来ているいう。本当はシンプルな柄でオリジナルなものを作りたかったのだけれど、タイミング的に期間が無く難しいのかなと感じた。そこで黒地に白文字で“C”と書かれたシンプルなものを2つ買ってきて貰った。
日曜日、早速試合に臨む選手達にキャプテン制度の話をして、「今日の試合からやって貰うから」と伝えた…が、スタッフに「買ったキャプテンマークは」と聞いたところ「オフィスに置いてきた」という、“持って来い”って言ってないじゃん的な態度でね。まぁまぁまぁ…タイ生活が3年目を迎えているからかなぁ、ここはイラッとしかけたが冷静に対処をした。
翌週改めてキャプテン制度導入、「試合が各カテゴリー立て込んでいるから試合時間前に全員集めておいて欲しいし、そこでモチベーションを上げる為に選手間でミーティングなんてこともやって置くこと。これをキャプテンが中心にやること」と役割の説明を当日ゲームキャプテンに選んだ選手に伝え、いよいよキャプテンマークを巻いて貰おうとした瞬間…嫌な予感が的中した。買ってきたキャプテンマークは普通に大人サイズ…中学生でもデカいのである。
「折角買ったし、付けてみるか!?」この日、最初の試合を行う中学生の左腕にマークを巻いてみた。「ズレたキャプテンマークを直す仕草も格好良いんだぞ」と諭して違和感を感じているゲームキャプテンを送り出した。試合開始10秒…ゲームキャプテンが俺のところにやってきた。「邪魔だから外して良いですか!?」新しい試み“ゲームキャプテン制度”は終わった。
伊藤琢矢(いとたく)
アマチュアに拘りプレーを続けた20代。33歳でのプロ契約を期にJリーガーを目指す事に。大宮・岡山・北九州とJリーグ昇格に携わり、自身は36歳でJのピッチに立った。2011年よりタイに活躍の場を移した「夢追人」。
いとたくブログ『夢追人』
Regista in Thailand