2013年11月26日掲載
タイに来て2年位経った頃から、息子の息が急に臭くなった。同例えれば良いのであろうか…釣り堀のエサみたいな臭い!? ほんとシャレにならない位臭かった。彼は本当にイケメンなだけに…“可愛いけど、臭い”というレッテルが貼られてしまうのではないかと心配であった。
薬局へ行って症状を話したら「膿が溜まっている」という。蓄膿系の膿は薬で散らすことが出来ると聞いたことがある。だけでここで処方する薬は抗生物質、タイの薬は強めに作ってあることもあり、ちょっと気の毒に感じた。しかもあまり効果が見られなかったんだよね。
俺は慢性鼻炎持ち、遺伝の影響もあるのかなぁ…息子は蓄膿なのかなぁなんて心配であった。お友達の中でも「Rionくん、臭い」という子が出て来ていたので、そろそろお医者さんに相談しようかなと思い始めていた。最悪手術!? 蓄膿の手術は痛いと聞いていたから、それはそれで可愛そうだなぁって…。
2013年2月24日、俺は選手時代に大した実績を残せた訳では無かったが、タイで引退セレモニーをやって貰った。サッカークリニックから始まり、子供達や仲間のフットサルの試合の後、娘が所属をするチアダンスチームが“いとたく特別バージョン”のダンスを披露してくれた。そのダンスの一番端っこでサプライズ、家内も皆に紛れて踊っていて…なんかハラハラした(苦笑)。
ここタイで巡り合えた仲間と引退試合という形でフットサルをした。正直選手を続けたかったが、チームとのどうしようも無いVISAやお金のトラブルでの引退。タイでサッカーを離れて一般就職をしていたので、サッカーを自分から遠ざける意味でも半年の間一切ボールを蹴らなかった。だから…動ける訳ないよね、引退試合では無様な姿を曝け出しちゃったかなぁ。でも凄ぇ楽しかった。
そして最後のセレモニー、Jアンバサダーのマル(丸山良明氏)やFagiano岡山の木村社長に引退に寄せてのメッセージを貰った。その一文一文が俺にはホント身に染みて嬉しかったし、今までやって来たことは小さい事かも知れないけれど色々な経験をさせて貰ったな…少しは胸を張って良いのかなぁと思えたんだよね。
締めは俺のスピーチ、正直泣かないって決めてたんだけどね…駄目だった。…と、まさにその時に事件は起こった。この日最大の山場の最中に息子がトイレに行きたいと言い出したそうだ。そしてトイレに入るなり「グワショ~ン」と巨大なくしゃみ一閃。すると鼻から何かが吹き出てきた。よく見ると何とそれは絆創膏、家内が臭いを嗅いでみると…おぉ、釣り堀のエサの臭いがするではないか!? 息子の鼻の臭いを嗅いでみると…臭く無くなっている。自分の旦那の引退スピーチそっちのけで、家内は大喜びであったそうなぁ(苦笑)。
引退セレモニーが終了し、家内から絆創膏が入っていたことの報告を受けた。「何でこんなん入ってんねん!?」正直予想も付かなかった。そしたら息子「たっくん(“いとたく”は息子にこう呼ばれている)が(僕の鼻に)入れたんでしょう!!」と爆弾発言。わ…訳分からん(怒)。
それからというもの臭いは一切なくなった。半年間もの間、絆創膏が鼻の中に生息していたということか。それにしても良かったなぁ、息子よ。…がしばらくの間、息子の「たっくんが…」というセリフで犯人扱いをされたことを明記しておこう。
伊藤琢矢(いとたく)
アマチュアに拘りプレーを続けた20代。33歳でのプロ契約を期にJリーガーを目指す事に。大宮・岡山・北九州とJリーグ昇格に携わり、自身は36歳でJのピッチに立った。2011年よりタイに活躍の場を移した「夢追人」。
いとたくブログ『夢追人』
Regista in Thailand