2012年11月15日 掲載
後半10分、GKを外したパワープレーで猛攻を仕掛けた日本の姿にフアマークスタジアムを訪れた沢山の日本人が感動し、得点の度に絶叫したのではないだろうか。普段ライターとしてサッカーの試合を冷静に分析しながら観ている自分も、この日ばかりは仕事を忘れて試合にのめり込み、得点シーンでは『うお~ぉ』と喜びを爆発させてしまった。
試合後、センターサークル付近で選手・スタッフ全員で円陣を組んだ日本代表。この世界大会に臨むにあたり、相当なプレッシャーがあったであろう、全てを懸けて来たのであろう。大半の選手は涙しながら監督の話に耳を傾けていた。日本代表のこのメンバーでの最後円陣、なんか凄ぇカッコ良かった…
ウクライナは組織だってゴールに鍵を掛けていた。ウクライナのサッカーの代表は堅守速攻型なのだけれど、フットサルでも同じようなカラーのチームであった。その堅い守備を崩せずにミスを連発して失点をいつも以上に重ねてしまった日本代表。更に追い打ちをかけるように今大会のラッキーボーイ的存在であったNo.14の稲葉選手がレッドカードを受けてしまったのが大きかったと思う。彼のボール運びは日本代表に独特のリズムをもたらしていたからね。
FIXOの位置に入っていたNo.10の小暮選手は、パスを横にはたくとそのままパスを受けた選手の方に走り出す。彼はダイレクトで落とされたボールを更にダイレクトで前線に楔を入れるイメージが出来ているのであろうが、残念ながら日本代表のチームメイト達はイメージを共有出来ていなかったように思う。また、パワープレーでFIXOのポジションに落ちて来たNo.7の森岡選手もボールを廻しながら隙あらばシュートを狙っていたのだが、ダイレクトで打てるボールが全く入ってこずに明らかにいらだちを顕わにしていた。組織立っていたように見えた日本代表は実は細部まで戦術を詰められていなかったのではないのだろうか。
でも…最後まで戦い抜くサムライ達の姿、間違い無く会場に訪れていた日本人の心を捉えたはずだ。課題は今大会でハッキリしたよね。前から来た相手に対してどのようにミスを減らして前半の失点を抑えていくのか!?ウクライナのような大柄で懐の深いドリブルやディフェンスに対しいして、苦手意識を改善していけるのか!?あの涙を無駄にせず、4年後に良い答えを導き出してくれる事を信じて…僕は次回のW杯を待とうと思う。
伊藤琢矢(いとたく)
アマチュアに拘りプレーを続けた20代。33歳でのプロ契約を期にJリーガーを目指す事に。大宮・岡山・北九州とJリーグ昇格に携わり、自身は36歳でJのピッチに立った。2011年よりタイに活躍の場を移した「夢追人」。
いとたくブログ『夢追人』
Regista in Thailand