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第57回 タイで一緒にプレーした元同僚達へのメッセージ

2012年10月12日 配信

2012年10月12日 掲載

「夢追人」のタイサッカー珍道中

所属していたチームが民事再生法の手続きに入ったとの暗いニュースが飛び込んできた。選手への給料未払いは相変わらず続いているようで、約4ヶ月前に元同僚選手からSOSのメッセージが届いたのだけれど、チーム状況は更に悪くなっているようだ。
昨年は前期折り返し地点で昇格を狙える位置に付けていたものの、勝利給等のボーナスを勝手に廃止したり給料遅延等が起こり始めてから失速。今年は開幕から躓き続け、降格圏内であるビリ2を定位置としている。
正直僕が引退を決意してからも「戻ってこい」というメッセージを元同僚選手達は送り続けてくれたし、(最近解任されてしまった)監督は、後期移籍マーケットが締まるまでオファーを出し続けてくれた。僕はサッカー留学をしに来た訳では無いので、「給料遅配・未払い等の問題が改善されていない状態では戻れない(あとVISAの大問題もあるからね)」とエールには応えてあげられなかったけれど、正直この気持ちにはグッときていた。
元同僚達とは今でもFacebook等で連絡を取り合っているし、応援もしている。だからメディア等で各節のベストイレブンやマン・オブ・ザ・マッチに選ばれたりしていたら、素直に嬉しく思っている。
でもチームに対しては…厳しい言い方をすると、このチームは現状を改善出来ないのであれば下位リーグに落ちるべきだと思う。生活面のケアが出来ないのであれば新外国人選手をもう獲得しないで欲しい。それぞれの成功を夢見てやってくる外国人選手達の夢を喰いものにして欲しくないのだ。
民事再生の手続きが行われる一方で、最近チームに変化が起こっているようだ。1つはバンコクから車で1時間半はかかる大学の奥地にひっそりと佇むスタジアムにそぐわず沢山のテレビカメラ、要は数多の取材陣が訪れていること。そしてもう1つはチームが勝点を積み重ね始めていること。
選手一人ひとりは「やってられない」から「良いサッカーをして活躍し、他のチームにアピールしたい…そして来季の契約を勝ち取る」と気持ちが変化しているみたいだ。映像で見る元同僚選手達は肩を落とした姿から、ここ最近は昇格争いをしているチームに土を付けたりと胸を張って自信を持ってプレーをしているように感じられる。
僕には彼らに何もしてあげられないのだけれど…心から応援しているし、活躍を期待している。大好きなサッカーで、プレーヤーとして観戦する側の人達に格好良い姿をいつまでも発信し続けて欲しい。そしていつか、数年後にでも再会した時に苦しかった思い出を笑い話にして、お互い笑い飛ばせるように…

伊藤琢矢(いとたく)

アマチュアに拘りプレーを続けた20代。33歳でのプロ契約を期にJリーガーを目指す事に。大宮・岡山・北九州とJリーグ昇格に携わり、自身は36歳でJのピッチに立った。2011年よりタイに活躍の場を移した「夢追人」。
いとたくブログ『夢追人』
Regista in Thailand

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