2012年9月15日 掲載
紅白戦でのある一幕、センターバックでプレーする自分の自陣ゴール前にクロスが入ってきた。180cmとセンターバックとしては決して大きいとは言えない自分だが、ジャンプヘッドの競り合いには自信を持っていた。当然のように「OK~っ!!」と大声を張り上げてボールを跳ね返したのだった。
するとそこに味方ゴールキーパーがパンチングしようとクロスに反応してゴール前から飛び出して来ていた。僕はそのプレーに対して冷静に「俺がOKって声だしたでしょ!?」と聞くと、その選手は何かモゾモゾして意見したそうな顔をしている。「どうした!?」と訊ねると、「OKじゃ分からない…」と言うのです。思わず心の中で「ええっ!? ”OK” は全世界共通じゃないの??」と「○△※*×■」状態となってしまった。
「それじゃあ、何て言えば良い!?」となりますよね、するとゴールキーパーは「”ポイッ”だよっ」と”当然でしょ!!”的な態度で答えた。「”ポ…ポイッ”て…(失笑)」と思ったのですが、なる程、良く観察してみるとタイ人は皆、練習や試合で「”ポイッ”」と言っています。
それでも慣れるまでは苦労しました。「”ポイッ”」って大声で叫んでみてください…ね、日本人の感覚からしたら恥ずかしいでしょう。最初の方は「OK…じゃなくて”ポイッ”」とか「”ポイッ”…(うわっ、恥ずかしい)」のような使い方をしていました。大分慣れて来た頃には逆に、日本人とフットサルをしたりする時には「絶対”ポイッ”が出ないようにしないと…」と気を張りながらプレーしていましたね。
引退して早6ヶ月に手が届こうとしている現在、職場や日常生活で”ポイッ”を使った事は一度もありません。サッカーをしないタイ人に「”ポイッ”」の事を話すと8割方通じません…てことは、これは完全にサッカー用語なのでしょうかねぇ。普段の生活では全く使わないタイ語って事で、皆さんは心の片隅に留めておく程度で十分でしょう…。
アマチュアに拘りプレーを続けた20代。33歳でのプロ契約を期にJリーガーを目指す事に。大宮・岡山・北九州とJリーグ昇格に携わり、自身は36歳でJのピッチに立った。2011年よりタイに活躍の場を移した「夢追人」。
いとたくブログ『夢追人』
Regista in Thailand