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2012年7月9日 掲載
練習場からバス停までの雨上がりの暗い夜道、歩いて30分かかる道のりでは野良犬が多く、更に以前蛇にも噛まれた事も有り危険だ。僕は途方にくれていた…。
普段僕は練習が終わってから自主練習をして、筋トレをして更に約20分間かけてクールダウンをしていた。シャワーを浴びて屋台で売りにくる”チャオクワイ”というタイのデザートを食べて、チームメイトにバス停まで送って貰う。”チャオクワイ”というデザートは甘くて冷たく、疲れた身体にはたまらない…バンコク市街では30~45Bahtはするであろうこのデザートを10Bahtで売っていた。安いし美味い、僕は毎日のように食べていたし、いつしかこの屋台のおじちゃんと冗談を言い合う仲になっていた。
タイは5月位から約6ヶ月間、季節は雨季となる。雨季といっても日本の梅雨のように一日中シトシトと雨が降り続ける訳では無く、一気にスコールが”ドバーッ”と降って直ぐに止むという。だから練習は毎日外で問題無くやれるのだけど、この時期のグランドはいつもぬかるんでいたしスパイクやソックスはドロドロとなっていた。
この日は全体練習を終えようと、ストレッチをしている時に雷を伴ってスコールはやって来た。タイ人はみんな雲の動きを見ながら「これは激しく降るね」とか「監督、絶対降るから早く終わろうよ」とか言ってるし、大概の予想を的中させる。降り出す前から非難している選手もいるからね。不思議な事にタイ人は身体が濡れても頭が濡れるのを頑なに防ごうとする。だから街でビニール袋を頭に被ってあとはずぶ濡れなんて姿を良く見掛ける。”頭は神聖な部分だから”という宗教的な意味あいがあるみたいなんだけど、毎回「意味無いじゃん」と思わず笑ってしまう。
僕は雨が降り止んでから自主練習を開始したので、気が付くとグランド施設にチームメイトは誰も残っていなかった。「さてどうやってバス停まで行こうかな」と困り果てていると、”プップッ”とクラクションを鳴らされた。振り返るとバイクを改造して屋台にしている、そう前述の”チャオクワイ”のおじちゃんだ。「何してるんだ!?こんな時間まで…」と言いながら、おじちゃんは俺の状況を把握したらしく「乗れよっ」と言ってくれた。しかしこのバイク、屋台に改造してあるので一人しか乗るところが無い。僕は無理やり荷台にしがみ付く形で乗り込んだ。するとどうだろう”ボッボッボッボッ”と…超遅かった。
歩いた方が早かったんじゃないか!?と今でも思う。だけど…ありがとう。格好良かったぜ、おやじ!!
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