2012年6月21日 掲載
僕が所属したチームはバンコクから少し離れたところにスタジアムと練習場がありました。チームに加入した当初はチームが用意してくれたアパートで3カ月間生活、練習場へは自転車で40分かけて通っていました。
田舎の道を自転車で走るのに注意しなければいけないのは、やはり日本とは比べ物にならない程運転マナーの悪い自動車やバイクです。信号はあって無いような物ですし、歩道に居ても逆走してきた原付バイクにクラクションを鳴らされてしまいます。でも、一番気をつけなくてはいけないのは野良犬かもしれません。
タイは何故か野良犬が多く、当然野良犬ですから狂犬病の注射をしていませんので、噛まれたら一大事になってしまいます。「お前なんか怖くないぞっ」という態度をとれば大概大丈夫なのですが…一度いつもとは違う道でグランドに行こうとアパートを出て3分後、野良犬3匹に追いかけられてアパートにとんぼ返り、命からがら逃げ切ったのですが、しばらく恐怖で足の震えが止まらなかった事がありました。
バンコクに引っ越してから、練習へは公共の乗り物を使うようになりました。MRT(地下鉄)→BTS(スカイトレイン)→エアコンバス→ローカルバス→バイクタクシーと乗り継いで片道2時間かけて通っていました。
ローカルバスは酷いですよ。蒸し暑いタイでエアコンが付いて無く、天井に備え付けられている扇風機が壊れて回っていない事が当たり前、車内はサウナ状態になります。平気でガソリンスタンドに勝手に給油に寄るし、故障したからとタイ人乗客に交じって汗だくになりながら路肩まで押した事もあります。
バスの乗り換えのためにバス停間を歩いていた時、体長2メートル位のオオトカゲに遭遇。僕は最初ワニかと思って恐怖でその場に立ち尽くしていたのですが、通りがかりのタイ人のオジちゃんが「トカゲだから大丈夫だよ」と追い払ってくれました。
一番ショックだったのは、バス停でバスを待っていた時の事。「バスまだかなぁ!?」と道路を覗き込もうとしたその瞬間に”パクッ”という音と共に右足親指に激痛がっ…「痛ぇっ!!」と思い足元を見てみると体長40センチ程の蛇がシュルシュルと逃げていきます。「嘘でしょう、毒蛇じゃないよね…」と血を流しながら家に帰りました。
幸い大事には至らなかったのですが…まさに練習行くのにも命がけ、大変な思いをしていたなって思います。
伊藤琢矢(いとたく)
アマチュアに拘りプレーを続けた20代。33歳でのプロ契約を期にJリーガーを目指す事に。大宮・岡山・北九州とJリーグ昇格に携わり、自身は36歳でJのピッチに立った。2011年よりタイに活躍の場を移した「夢追人」。
いとたくブログ『夢追人』
Regista in Thailand