2012年5月15日 掲載
今回は海外に移籍する選手が必ず発行してもらわなければいけないITC (国際移籍証明書)についてのお話です。
ITCとは、移籍先のチームが以前所属したチームと別の国の場合、元々所属していたチームが…と、ここでは難しい話は置いといて、要は僕の場合は「タイのチームに所属しますよ」と日本の元所属したチームに知らせて「OKですよ」という証明書を発行してもらわなければならないのです。
この証明書が無いと公式戦には出られない訳で、こんな事は所属チームが当然やるべき事だと思うのですが、僕が所属したチームは一筋縄ではいかなかったといいますか、これについても僕は大変苦労をしました。
開幕戦の前日に当日の集合場所を指定されたのですが、場所が分からなかったので代理人に電話で確認して貰ったところ「明日、バイクタクシーを捕まえたら電話ください。私が道を説明します」とのことでした。
翌日朝、時間に余裕を持ってバイクタクシーを捕まえて代理人に場所を説明してもらったところドライバーは「指定された場所はバンコク市内に沢山あって何処の事を言っているのか分からない」というのです。代理人はチームスタッフと連絡が取れないと大慌て、30分経っても確認が出来なかったので「仕方が無いから試合会場に向かっちゃってください」と言われ指示通りに試合会場へ。40分かけて到着すると代理人から「やっと連絡が取れて、ミーティングをするからバンコクに戻ってこい」との指示、また40分かけて戻る事になりました。そこから更に15分かけてミーティング会場に移動しました。
さすがに1時間半以上バイクに跨っていたのでお尻が痛くなりました。集合には1時間近く遅刻してしまったし、高額になったバイクタクシーの代金も代理人は「すいません、自己負担してください」というのです。「ちょっと試合に臨む状態では無いな」と思いつつ、チームに合流すると監督から「今日の試合、伊藤はITCが取得出来ていないから出場出来ない」と衝撃告白をされました。
「え、え~っ!?」ですよね、再度代理人に「どうなっているんだ!?」とクレームの連絡を入れると「すいませ~ん、言うの忘れてましたぁ」とサラッと言われていまいました。代理人曰く「チームスタッフはやり方が良く分かっていない」と言うのです。
まあ仕方が無いですから、開幕戦は泣く泣く出場を諦めて第2戦には間に合うように自分で日本サッカー協会に国際電話をかけてITC発行のやり方を教えて貰って全て自分で手配してITCを取得しました。
こんなケースは世界中を探してもそうある事じゃないと思うのですが、タイではITCを自分で手配して取得した選手が何人かいるみたいです。こういう面は本当にタイサッカー業界はまだまだ改善しなければいけない必要があると思います。
アマチュアに拘りプレーを続けた20代。33歳でのプロ契約を期にJリーガーを目指す事に。大宮・岡山・北九州とJリーグ昇格に携わり、自身は36歳でJのピッチに立った。2011年よりタイに活躍の場を移した「夢追人」。
いとたくブログ『夢追人』
Regista in Thailand