2012年10月30日 掲載
僕が所属したチームは、公式戦の試合前には必ず祠や寺院に選手達やチームスタッフで訪れ”勝利祈願”をしていたのだが、そこで何度か不思議な光景に遭遇しました。
遠征先で川の近くの寺院を訪れた際、そこでタライに入った数種類の魚が売られていました。ナマズだったりうなぎだったり、それぞれに値段が付けられていて、「川で捕まえた魚を売っているのかなぁ」と思っていたのですけど…。タイ選手の一部が興味を持ってそこのお店に立ち寄り、魚を買い始めました。魚市場の魚屋のように鮮魚を見極めて1人2~3匹程度の魚を選んでいきます。「おっ、お昼に食べるのかなっ!?でも川の水汚いし、俺には無理だなぁ」と正直思いました。
先ほど買った魚の入った容器を持った選手達が川の方に移動し始めました。みんな容器を置いて魚にワイ(お祈り)した後に、その魚達を…普通に放流し始めました。「えっ食べないのかっ!?…逃がすんかぃ!?」ちょっと意表を突かれてビックリ!!チームスタッフに「彼らは何をしているのか!?」聞いてみると、「彼らは魚を放流(逃が)してあげる事で良いことをした」って言うのですが…。
そういえば以前Pattayaビーチに行った時に籠に入った雀を子供達が売りに来てビックリした事がありました。「そこら辺にいた雀でしょう、そんな物まで売っちゃうの!?」と思ったのだけれど、隣りにいたタイ人が1匹買い取るとそのまま籠から取り出して逃がしてあげちゃった。「何今の…!?」その時は正直理解に苦しみました。
まぁ文化の違いだから「良いことをした」というのであれば「良いことなのかなぁ」とは思うのですけど、これで商売が成り立っているのも何か僕には不思議で仕方がありません。
そんな優しい心を持つタイ人なんですが、毎年唐辛子の消費量世界ナンバー1を保持しています。辛いもの大好きなのでこれには納得出来るのですが、最近なんと”浮気をする男性”ランキングでも世界1位に輝いたそうです(誰が調べたか知らないだけどね)。信仰深く純粋なんだか適当なんだか、ますますタイ人の事が良く分からなくなってきてしまいました。
伊藤琢矢(いとたく)
アマチュアに拘りプレーを続けた20代。33歳でのプロ契約を期にJリーガーを目指す事に。大宮・岡山・北九州とJリーグ昇格に携わり、自身は36歳でJのピッチに立った。2011年よりタイに活躍の場を移した「夢追人」。
いとたくブログ『夢追人』
Regista in Thailand