タイとタイ語に魅せられて http://plaza.rakuten.co.jp/lamyaidaeng/
バンコクからひょいとバスに乗り、ソンテウに乗り、必要とあらば舟に乗り、自転車をこぎ・・・タイ人でもよほど細かく出歩く人でなければわからない場所を散策するLamyai_daengさんのブログ。その先には見知らぬタイ人との触れ合いや、その土地ならではの素朴な味、タイ人のローカルな人気スポットなど、私たちの知りえないバンコク近郊の魅力が待っている。タイの乗り物はタイムテーブルできちんと管理されている日本とは違い、決して正しい時間に来ないし、思わぬ方向に行ってしまうこともしばしば。それをハプニングとしてとらえず、タイの楽しみとしてとらえる穏やかさが、何とも言えない癒し系の気を発するブログ。
なんと日本に20人しかいないタイ語の通訳案内士試験合格者でもあるLamyai_daengさん。現在はタイ語スクール・タイコムランゲージセンターを運営している。これだけの散策ができるのはそのタイ語力の賜物なのかもしれない。
Q Lamyai_daengさんが初めてタイに行ったのはいつですか?
1994年の夏です。友人から香港旅行に行こうと誘われたのがきっかけです。後になって香港とタイを巡るツアーがあるからこっちにしようと言われ、タイには全く興味が無かったんですが渋々OKしたというのが最初のタイ旅行でした。タイどころか私にとって初めての海外旅行でもありました。
Q タイとタイ語に魅せられて」ということですが、Lamyai_daengさんがタイに魅せられてしまったきっかけは、どんなことだったのですか?また、タイ語に魅せられたのはタイ語にどんな魅力を感じたからでしょうか。
その初めてのタイ旅行でバンコク市内に入ってビックリ。今考えるととんでもなく失礼なんですが、タイに対してヤシの木並木の間に続く未舗装の道をゾウが闊歩しているというイメージを持ってたんですよ(笑) それが全くの大都会だったわけでして。
でもそのことよりも車窓に見えるヘンテコな文字で書かれた看板に興味が湧いたんです。丸っこくて可愛い文字だなぁと。良くみると文字の上にアイロンが乗っかってて、アイロンの取っ手には丸や一本棒、二本棒、中には取っ手の無いアイロンまである!と(笑)
この文字が読めたら楽しいだろうなと魅せられてしまって、旅行からの帰国後すぐにタイ語を習い始めました。
Q えっ?タイ語の方に魅力を感じたんですか?
最初はタイ文字に興味を持ったんです。タイ自体には正直言って大して興味がありませんでした(笑) でもタイ文字から入ったタイ語学習を続けていくうちに、段々とタイの文化やタイ人にも興味を持つようになっていきましたね。
Q タイ語の資格試験の話題もブログに上がりますが、どういった資格なのでしょうか?
通訳案内士試験のことですね。通訳案内士とは「報酬を得て、通訳案内(外国人に付き添い、外国語を用いて、旅行に関する案内をすること)を行うことを業とする」資格です。つまり外国人を外国語で観光案内してお金を貰うには、この試験に合格して通訳案内士にならなければいけないんです。まぁ、その辺は緩和しようという議論が進行中のようですが。
Q 試験をクリアするのに、どんな勉強をしたのですか?
通訳案内士のタイ語は平成18年度から新設され、私は足掛け2年で平成19年度試験に最終合格しました。18年度にどんな試験なのか知りたくて全く勉強せずに取り敢えず一次のタイ語科目だけ受けたんですよ。そうしたらなんと合格してしまいまして。きっと1年目だから易しかったんだと思います。それで翌年、一次の残りの邦文試験も受験。これは真剣に勉強しましたよ。高校生向けの日本史参考書なんかを買って覚えましたね。で、一次合格して二次の口述試験。これも他言語の過去の出題を調べてタイ語だったらどう言うか模範解答を作りました。合わせてタイ語版の日本旅行ガイドブックに掲載されている日本史のダイジェストを読んで「徳川幕府」「鎖国」「明治維新」などの用語を覚えましたね。口述試験時は笑顔を絶やさないように受け答えしました。
通訳案内士試験は日本国内唯一のタイ語国家試験です。タイ語合格者が通算でまだ20名しかいませんので、タイ語力の腕試しをしてみたい方にはオススメですよ。
Q Lamyai_daengさんは留学もされていたそうですが、バンコクでの学生生活はどうでしたか?
バンコクではタイ語学校で学んだ以外に、シーナカリンウィロート大学人文学部とチュラロンコン大学法学部に聴講生として短期留学しました。いずれも制服を着ていたんですよ、いい歳して(笑)。シーナカリンウィロート大学の時のほうが楽しかったですね。私の遅い青春です。RCAで友人と朝まで飲んで、30分仮眠してから大学に行ったり無茶してました。私の最後の日、隣の席の女の子に「今日で最後。日本に帰るんだ」と告げたら、高校生の頃からずっと手にはめていたという木製のブレスレットをその場ではずして私にくれたんです。今でも大事に取ってありますよ。
チュラロンコン大学は、日本で大学院に在籍中に論文資料収集でバンコクへしばらく滞在することになり、どうせならと留学してみたんです。チュラ大の学生はあまりかまってくれませんでしたね(笑) 私も資料収集で図書館籠りがメインだったので、残念ながらあまり学生たちと親しくなりませんでした。でもワン・ワイ・クルー(先生に感謝する日)に学生代表でステージに登壇したりと、貴重な経験をさせていただきましたね。
Q ブログでは、バンコクを拠点にローカルな手段を使った近場の旅のレポートをされていますが、あえてこのテーマにしぼったのはどんな理由からですか?
正直に言うとネタ切れ防止策として始めたんです(笑) 当初はタイ関係の様々な話題で書いていたんですが、段々とネタが尽きてきまして。困った挙句、試しに旅行記を書いてみたところ、一回の旅で十数回分書けるということが判明して、それからはもうほぼ旅行記一色です。都合でバンコク周辺から離れることができないので、日帰りバス旅ばかりなんですが、意外とこれが面白いんですよ。バンコク周辺ってこんなに見どころが豊富だったのかと毎回驚いています。最近はバスだけでなく、ソンテオやロッ・トゥー、鉄道、船なども登場しますが、原則として公共交通機関か徒歩だけで移動するようにしています。タイ語力はある程度必要ですが、現地に自家用車を所有していない日本からやって来た旅行者の誰もが同じルートを踏めるような旅を心がけています。
Q 今までの小旅行で印象的だった旅はどんなものでしたか?
いつも思うんですが、バンコク中心をほんの少し離れるだけで、人が急に親切で人懐っこくなりますね。バーンブアトーンで間違えて回送バスに飛び乗ってしまったら、運転手さんがカーチェイスさながらに前を走るバスの前に割り込んで無理やり停車させて私を乗り移らせてくれたことがありました(笑)。ラーンクラトゥム市場では、入った家族経営の食堂がみなさんとても温かい方たちで会話がはずんで楽しかったです。帰り際にプラ・クルアンを託されて感動しました。
Q バンコク近場小旅行の魅力はどんな所でしょうか。
人の温かさに触れられる点ですね。日本人にあまり知られていない見どころがまだ沢山ありますし、中でも戦時中を中心に日本の残した物や足跡が意外と多いんです。日本国内では現存しない戦前の日本製軍艦や潜水艦が保存されていたりするんですからオドロキですよ。
Q バスやソンテオといったローカル移動手段はどのように把握していますか?
バスについては大抵の路線はネットで情報が見つかります。問題はソンテオやロッ・トゥーですね。ネットを必死に探しても見つからないことのほうが多いので。そういう場合はもう現地で自分の足と目で探すか、食堂で店員に尋ねるかしています。不思議と行きたいところまでの路線が見つかるものなんですよね(笑)
Q 失敗談もあるんじゃないですか?
ソンテオにも乗るようになってからは、乗り過ごしたり、予想と違う方向に曲がってしまったりということがよくありますね。でもそれも旅の醍醐味かなと開き直って楽しんでいますけど。
Q バンコク近郊以外で好きな場所はありますか?
ここ何年も地方には行けていないんですが、以前は色んなところへ行きましたよ。フアヒンは良かったですね。またぜひ行きたいです。あと東部のチャンタブリー。町中に坂が多くてまるで日本の町みたいで好きになりました。一時フランスに占領されていたからか、ちょっと雰囲気が違いますしね。でも一番好きなのは、バンコクです。
Q Lamyai_daengさんにとってタイはどんな場所ですか?
好き嫌いに関係なく一生関わっていく場所、って感じしょうか。日本にいてもタイが生活に奥深く入り込んでいてそれが自然なので、あまり深く考えたことがありませんでした。すみません(笑)
Q ブログを始めたきっかけは何だったんですか?
今の仕事の宣伝になればと思ったのがきっかけです。でも結局、宣伝に意識的には使わずに自分自身も楽しむツールと化しています。
Q ブログを続けるモチベーションやパワーはどこからやってくるものですか?
私のブログを楽しみにしてくださっている方がいらっしゃることが大いにモチベーションになっています。みなさんに楽しんでいただけると私も嬉しいですから。
Q ブログをやってみてよかったと思うことはどんなことですか?
楽天ブログ仲間の方やコメントをくださる方と、ネット上やリアルで仲良くなれたのは大事な宝物です。またブログ記事のために日帰り旅を続けたことで、タイの地理や歴史にも一層興味を持てたのは意外な収穫でした。日帰り旅のネタが尽きるまではブログを続けていきたいと思っています。
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タイではなくタイ語に興味を持ったというのは実にユニーク。今後のLamyai_daengさんのバンコク近郊ぶらり旅を楽しみにしたい。
(2013年4月1日掲載)