【質問:マレーシア料理とシンガポール料理ってどう違うの?】
マレーシア人とシンガポール人の前で彼らの食文化を比較すると、普段は見せることのない愛国心という名の火花が飛び散ります。数年前にマレーシア人の友人と一緒に台北を訪れた際、シンガポール製品のチャー クェイ ティオ(char kuey teow)、バクテー(bak kut teh )、ナシレマ(nasi lemak)を売っている屋台を見かけたときの彼の語りの激しさと言ったら、まるで別人のようでした。
どちらかの国がどちらかの国の料理を真似したと言うのは少し語弊があります。マレーシアとシンガポールは、1960年代にひとつの国家に統合されたこともあり、同一の文化や習慣を共有しているのです。彼らの食文化は、中国、インド、マレー、タイ、ポルトガル、そして他の民族など、多文化の影響を大きく受けながら形成されました。また、ここ10年ほどで多くのフィリピン人が仕事を得て暮らしているため、フィリピンの食文化も大いに浸透しています。
では、どこが違うのでしょう。また、どちらがよりおいしいのでしょうか。
誤解がないように述べますが、私は過去に5年ほどマレーシアに住んでいたことがあるので、個人的には濃いめで辛口のマレーシアバージョンを好みます。もちろん、マレーシア料理がシンガポール料理より上だと結論づけるつもりはありません。ご存知の通り、どちらの料理も世界で高く評価されています。
ただ、マレーシア料理よりもシンガポール料理のほうが有名である理由がいくつかあるようです。シンガポールは観光産業における食のマーケティングに非常に力を入れています。ロンドンからムンバイ、香港からバンコクまで、あらゆる観光スポットでシンガポール料理のレストランを目にすることができます。
しかし、マレーシア人の自国の食文化に対する思い入れは強く、彼らが言うには、シンガポール料理は大目に見ても正しい材料で作っていないそうです。一般的にマレーシア料理はシンガポール料理に比べて、砂糖の量が多く、脂っこく辛口です。シンガポール料理が薄めであることはお互いに認識しているようで、政府から課せられた健康基準に準じているからだろうと冗談を言われることもあります。
ただし、結局は好みの問題です。実際に料理を食べ終わったあとに感じる個人の好み、健康志向、愛国心によりどちらのほうがおいしいか判断されるでしょう。もしお腹に余裕があるのなら、2つの料理を食べ比べてみてはどうでしょう。世界でも有数の美食に数えられる料理を一度に2つも試せる機会などなかなかありませんよ。
【2013年1月25日