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民主化が進み、大きな変化が訪れようとしているミャンマー。ひょんなきっかでこの国と出会い、運命が変わった女性がいます。
――池田美冬さんは日大芸術学部の映画学科演技コースに在学中、文学座の研究生となり、女優を目指していました。
「小さい頃から、母が「ピーターパン」や「宝塚」などの舞台をよく見せてくれていたんです。そんなこともあって、俳優という、 その時々で自分と言う人間が消え、別な人間として人生が歩める職業に興味を抱いたんです」
―― 大学4年生の時、日本・ミャンマー合作映画『血の絆』の主人公・由美に大抜擢されます。ミャンマーのベストセラー小説「THWAY」を、社会派の千野皓司(ちのこうじ)監督が映画化した作品です。
「映画のキャスティング・プロデューサーが私の写真を見てオーディションを進めてくれ、それに受かりました。起用して頂いた理由は、その頃は髪の毛も染めておらず、化粧もあまりせず、とても素朴な感じがしたとのことでした。また、その役に対する真剣な姿勢も買われたそうです。」
―― ミャンマーでロケがスタートしましたが、異国でいろんな苦労があったようです。
「とにかく食生活が違う為、皆だんだんロケ隊が疲れて痩せて、最後には自分たちが映画に出てくる大戦中の敗残兵のような状況になっていました。
あまりのハードスケジュール、暑さ、プレッャーに全身撮影中じんましんが出て、それでも隠しながら撮影をしていたのですが、最後は顔にまで発心が出て入院。点滴と注射でアレルギーを押さえながら撮影を続けました。
苦しさも沢山ありましたが、女優として最高の瞬間も味わえました。映画の最後の場面で、主人公が自分の人生を走馬灯のように思い出すシーンがあるんですが、それを演じながら、今までのロケの大変だったことを思いだし、由美と私がシンクロしたんです。あの映画で、私は間違いなく彼女そのものでした」
―― ミャンマーの自然や人々の素朴さに魅せられた池田さんは、ミャンマー語を勉強するため再びこの国を訪れます。
「でも、大学では読み書きや文法などの勉強が主で、あまり実用的なミャンマー語を話す機会がありませんでした。そこで、ヤンゴンの大きなホテルの日本人セールスとして働くことにしました。その方がよりミャンマー語が身に付くと思ったからです」
―― アパートを借りて、本格的にヤンゴンでの暮らしを始めた池田さんに大きな事件が起きました。ご主人のミョーミョーさん(ミャンマーの有名な歌手で、お母さんは国民的歌手であるヌウエインウインさん)との出逢いです
「主人はアパートを借りていた大家さんの親友でした。会った頃はまだ軍事政権の圧力が強く、その日のことだけを考えながら、ミャンマーの人たちは過ごしている感じでした。そんな中、彼はいつも明るく、前だけを見てポジティブに生きていたんです」
―― ミョーミョーさんも池田さんの美貌に惹かれ、二人は結婚。2006年には男の子が生まれます。現在、6歳。明るい性格で、周囲の人たちみんなに愛されているとか。
「ミャンマーの人たちは優しくて、とても人懐っこいんです。仏教徒が多い為、家族や年上の人に対する尊敬の念が深いことにも驚きます」
こんな素晴らしいミャンマーのため、この国と日本を橋渡しする何かが出来れば、と池田さんは考えています。
様式
カラー スタンダード 35ミリ 上映時間3時間15分
スタッフ
企画・脚本・監督 千野皓司
ミャンマー協力監督 ウティンユ、ウラミョ ウ、ウサンミュイモン
ミャンマー脚本協力 マウンティンサイン
撮影 前田米造 (『天と地と』『お葬式』など)
音楽 池辺晋一郎(『瀬戸内野球少年団』『影武者』 など)
照明 島田忠昭
録音 信岡実
美術 和田洋
編集 西東清明
製作プロデューサー 板持隆 藤倉博
ミャンマー側プロデューサー キンモンクウ
ミャンマー側プロダクション ナショナルネットワークLt.D
キャスト
麻生あかり、チョウトウ、ミョウタンダートン、ミンモンクン、永島敏行、ほか。
ウェブ
http://thway-chino.com/
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