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タイの伝統スイーツ「カオニャオ・マムアン」。もちもちとしたもち米に、甘く完熟したマンゴーを添え、ココナッツミルクをたっぷりとかけて味わう人気のデザートです。観光客にも愛され、屋台やレストランなどさまざまな場所で提供されています。
しかしカシコンリサーチセンターによると、2025年のカオニャオ・マムアンの価格は、前年と同じか、それ以上になる見込みです。その理由として、もち米の価格が依然として高い水準を維持していることが挙げられます。
2025年のマンゴーの価格は下がると予想されています。主要生産地での収穫量が前年より9%増加し、市場への供給が安定することで、価格が下落すると見られています。一見、カオニャオ・マムアンの価格が下がる要因になりそうですが、実際にはそう簡単ではありません。
カオニャオ・マムアンのもう一つの主役である「もち米」の価格は、ほぼ横ばいか、わずかに上昇するとみられています。2024年には前年より8.5%の価格下落がありましたが、それでも依然として高値を維持しています。また、高品質なもち米(GI認証米)への需要が高まっていることも、価格が下がりにくい要因となっています。
さらに、もち米以外の原材料費も上昇しています。例えば、もち米を炊く際に使用される白糯米の価格は前年比71.4%増となっており、水道料金の固定価格も21バーツ/㎥に設定されるなど、細かなコスト増が積み重なっています。
タイの最低賃金の引き上げや、観光業の回復による店舗賃料の値上げも、価格高騰の要因となっています。2025年の人件費は前年比2.9%増加し、さらに電気・ガス料金などの経費も上昇傾向にあります。
2024年にバンコクの市場で販売されていたカオニャオ・マムアンの価格は、138バーツ前後でした。しかし、2025年は「昨年と同じ、またはそれ以上の価格になる」と予測されています。
特に観光客向けの店舗では、高品質なもち米を使用する傾向が強まり、プレミアム価格帯での提供が増える可能性があります。さらに、カオニャオ・マムアンは「Best Rice Puddings in the World(世界のベストライスプディング)」にもランクインするなど、海外からの注目度も上昇しており、価格がさらに押し上げられる要因になり得ます。
もともと庶民的なデザートだったカオニャオ・マムアンですが、近年の物価上昇と高品質志向により、手軽に食べられるスイーツから「ちょっとした贅沢品」へと変わりつつあります。マンゴーの価格は下がるものの、もち米をはじめとする材料費や諸経費の高騰が影響し、2025年も高値が続く見込みです。
それでも、甘いマンゴーともち米の絶妙な組み合わせは、多くの人を魅了し続けています。今後、価格がどのように推移するのか、引き続き注目したいところです。
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