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バンコク都庁(BMA)は、日本国際協力機構(JICA)との協力を強化し、交通渋滞や大気汚染、洪水リスクなどの都市課題に取り組んでいます。バンコク都のチャッチャート・シッティパン知事は、JICAの新任タイ事務所長である作道俊介氏と、退任する鈴木和哉氏と会談し、共同プロジェクトの進捗状況を確認しました。2025年3月15日にタイ政府メディアNNTが伝えています。
協力の主要分野の一つは、「バンコク気候変動マスタープラン(2021–2030)」です。この計画では、持続可能な交通の推進やエネルギー効率の向上、廃棄物管理、都市緑地の整備、気候変動への適応を優先課題としています。温室効果ガスの排出量を2030年までに19%削減する目標を掲げており、国家政策や国際的な枠組みにも沿った取り組みとなっています。JICAは、アジア開発銀行や横浜市などのパートナーと連携し、計画の実現を支援しています。
また、BMAとJICAは「PM2.5削減プロジェクト」のもと、大気汚染の緩和にも取り組んでいます。このプロジェクトでは、汚染源の分析や大気質の予測モデルの開発、有害な排出物を削減するための戦略策定が進められています。さらに、長期的な対策として、市職員を対象にした研修プログラムの開発も進められているとのことです。
交通管理の分野では、「エリア交通管理システム(Area Traffic Control)」が、パホンヨーティン通り、ラマ6世通り、ラチャウィティ通りといった主要道路に導入されました。試験運用の結果、ピーク時の渋滞が20~30%削減されたことが確認されており、今後はリアルタイムで交通状況に対応できる適応型信号システムへのアップグレードが計画されています。
洪水リスクの軽減に向けても、JICAとBMAは「ADAP-Tプロジェクト」を進めています。このプロジェクトでは、都市型洪水や交通機能の混乱が経済に与える影響を分析し、政策の改善や洪水対策の強化、データ活用によるリスク管理の向上を目指しています。洪水対策が交通や大気質にどのような影響を与えるのかについても評価が行われています。
さらに、「スクンビットモデル」と呼ばれるプロジェクトでは、バンコクの交通渋滞が深刻なエリアの一つであるスクンビット地区において、都市移動の改善を目指しています。交通システム間の接続性向上やシェアモビリティの導入、歩行者に優しい街づくりの推進などが計画されており、バンコクの移動環境の近代化が進められています。プロジェクトで得られたデータは、政策立案に活用され、バンコクの交通システムの長期的な改善につながることが期待されています。
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