タイの活動家が性労働者の法的保護を求めて法案を提出

タイの市民団体「エンパワー財団」は2025年3月3日、バンコクで討論会を開き、性労働者の権利を守るための新法案「性労働保護法案」を発表しました。現在の売春防止法の撤廃を求め、性労働を合法的な職業として認めるよう訴えています。

提案された法案では、性労働者自身に登録を義務付けず、性的サービスを提供する事業者に対し、バーやマッサージ店と同様の営業許可を取得させる内容となっています。これにより、警察への賄賂の支払いが不要となり、労働者の法的保護が強化されるとしています。また、事業者には労働法の遵守、公正な賃金、安全な労働環境の提供が義務付けられ、学校や寺院、病院の近くでの営業は禁止する方針です。

タイでは1996年に制定された売春防止法により、性労働は違法とされていますが、実際には広く行われ、多くの労働者が不安定な立場に置かれています。活動家のシリサック・チャイテート氏は「違法な状態が続く限り、性労働者は搾取されます。合法化し、労働者としての権利を認めることが必要です」と述べています。一方で、未成年の関与や人身売買は引き続き違法とし、無許可の仲介業者の取り締まりを強化する方針を示しています。

エンパワー財団はすでに各政党に対し、性労働者の基本的な権利と福祉の保障を求める書簡を提出しており、今後は法案を国会に提出するための署名活動を開始する予定です。