|
|
タイジャーナリスト協会は2024年12月26日、2024年を「メディア業界にとっての試練の年」と総括し、年次報告書を通じて同年の主要な出来事と課題を伝えました。本報告では、特に「メディアの権利と自由の侵害問題」と「解雇問題およびオンラインプラットフォームへの適応」の2つのテーマが浮き彫りにされています。
タイでは、2024年に複数の事件が報道の自由に影響を与えました。
記者の逮捕事件(2月12日)
某社の記者とフリーカメラマンが、2023年3月にワットプラケオでの抗議行動を取材したことを理由に逮捕されました。この事件では、逮捕の正当性や報道の自由の侵害が国内外で議論を呼びました。
女性記者への暴力行為(8月)
新政府発足後、記者が政治家に質問した際、身体的暴力を受けた事件が発生しました。この行為はメディア団体から強く非難され、政府の対応が求められています。
議会での脅迫発言
某局の一部番組に対して、放送中止を求める発言が議会内で行われ、メディアへの圧力と受け取られました。
これらの事件は、記者やメディア組織が自己検閲を強いられる一因となり、報道の質の低下や自由な取材活動への影響が懸念されています。
経済的な困難とオンライン化の波が、タイのメディア業界に大きな影響を与えました。
広告収入の減少
多くの企業がGoogleやFacebookなどのオンラインプラットフォームに広告予算を移行したため、オールドメディアの収益が減少しました。その結果、政府や大企業に依存せざるを得ず、批判的な報道が困難になる状況が生まれています。
大規模なリストラ
2024年には複数のメディア企業が解雇を実施しました。
オンラインプラットフォームへのシフト
消費者が無料でアクセスできるオンラインニュースに移行する中、昔からの新聞や雑誌の売り上げは減少。さらに、競争激化によりニュースの質よりも人気や視聴率が優先される傾向が強まっています。
2024年を通じてタイのメディア業界は、経済的な苦境や政治的な圧力に直面しました。報告書は、メディア組織が持続可能なモデルを模索し、報道の自由を守りつつ競争力を維持するための改革が必要であると結論付けています。
タイジャーナリスト協会は、こうした課題を乗り越えるため、業界全体での協力を呼びかけています。
https://www.facebook.com/photo?fbid=1147725750691337&set=a.754527076677875
関連記事